短歌の目 第7回:9月 君のまつげは少し足りない
8月はセミの鳴き声を聞きながら詠んだのに、9月は片手いっぱいにどんぐりを拾いながら詠んでます。
1.一錠
生きるのが下手くそだからと泣く君に水なし一錠べっこう飴を
2.おい
「おい」と呼ぶ声に振り向く道端に残ったかすかなコロンのにおい
3.ウーパールーパー
むぞむぞとグラノラ食べている君はウーパールーパーのーパみたいだ
4.マッチ
桃の絵のマッチを擦っても浮かばない最初の顔は火薬に溶ける
5.葉
葉脈が織りなすレースのか細さに君のまつげは少し足りない
6.月
「ハネムーン、行くなら月に連れてって。うさぎの餅を食べてみたいの」
7.転
転々と流転の末に
8.舌
いつだって火傷している猫舌は熱々とろとろ我慢できない
9.飽き
飽きるほど溺れてみたい深海が誘うがままに覗き込んで
10.【枕詞】うつせみの
うつせみの世はこの頃も騒がしく四弦が鳴らす
今月の短歌の目に合わせるかのように、スマホからも引用スターがつけられるようになりました。めでたい。
ではでは、またお会いしましょう。