さらさら録

日々のさらさらの記録

短歌の目 第3回:5月 脾臓の奥の満ち引きを得て

今月もやってきました。

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4月の感想も振り返りも書けないうちに5月が来てあわあわしております。
全員に感想を書こうとして、刺のある言葉が出てきてしまったのでやすりをかけて丸めているうちに息切れしてしまったので、今月からは気になったものを抜き出して書いていこうと思います。
変わらず引用スターはつけていきますので、今回もいただけるとうれしいです。


* ☆ * ☆ *


1. うぐいす 

 ささくれた縁側に頬寄せる午後 うぐいすあんのパンの白さよ


2. 窓 

 今すぐに窓蹴破ってやる 出てくから お鍋の中身は適当に食べて


3. 並ぶ 

 畳まれた傘はつぼみ 雨の日に咲くのを夢見て立てられ並ぶ


4. 水 

 大切な言葉を書くなら水性のインクで。 滲んで読めなくなるから。


5. 海 

 海になる タオルケットを身にまとい 脾臓( ひぞう )の奥の満ち引きを得て


6. かめ 

 最近じゃ「やっとかめ」とか言わんがね えっ何?聞こえん 取材にならんて?


7. 発情 

  男の子( おのこ )らよ 一発情熱たぎらせて勇ましく行け 開始のサイレン 


8. こい 

 濃い色の文字で恋よこいと乞う 未必の故意は鯉のぼりの日に


9. 茜さす 

 茜さす紫野どこ標野どこ 野守もおらずに振る袖もなく*1


10. 虹 

 虹は神様と約束した印。だから、あなたと最後の約束


* ☆ * ☆ *

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ではでは、またお会いいたしましょう。

*1:万葉集巻一・二〇番 額田王 茜草指武良前野逝標野行野守者不見哉君之袖布流 〈茜さす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る〉 万葉仮名表記は塙書房刊『補訂版万葉集本文篇』より

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