さらさら録

日々のさらさらの記録

週報 21.10.03-10.09 万年筆、ルンバ、ゼロ

10.03

今年の自分への誕生日プレゼントは万年筆にしよう、そう決めていた。今使っているセーラーのプロムナードのEFはどうしても字幅が細いこともあって引っかかりを感じてしまう。なので、7mm罫の手帳に書ける限界の太さの万年筆にしようと思っていた。調べていたらプラチナの#3776センチュリーにグリーンの軸がある。無類の緑色好きとしてときめく感じの緑色だ。金ペンも鉄ペンもほぼセーラーばかり使ってきたので、たまには違うメーカーのものも使ってみたい。#3776センチュリーのMを基本に考え、万年筆屋さんへ試筆に向かった。

この日は試筆台で試し書きして字幅を決めるところまでかな、と思っていた。ところが、何本も試し書きさせてもらううちに出会ってしまったのである。運命の書き心地を持つ1本に。ただし、その1本はわたしが欲しいグリーンの軸ではなく、ブルーの軸であった。フローを取るか軸の色を取るかで悩んでいたところ、店長が「ペン先交換できるかやってみますね」と交換してくれたのである。かくしてグリーンの軸でわたしの手になじむフローの万年筆が誕生したのである。これはもう、ここで買うしかない。

手持ちがあまりにも心もとなかったので、慌ててお金を下ろして#3776センチュリーのローレルグリーンのMをお迎えした。月末の誕生日まで待てず、インクカートリッジを挿して書いてみる。なめらかでぬらぬらと思考を止めることなく書ける。思考と手が直結して文字が生み出されていく。なんと気持ちのいい筆記体験だろう。その足で夫とコメダに行き、向かい合って短歌をつくった。なめらかに紙をペン先が滑る感覚が気持ちよくて、しばらくつくれていなかった短歌がたくさん生まれた。濃淡をたたえた文字が並んだ手帳を眺める。万年筆の気持ちよさを改めて知った気分だ。

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10.04

前日からルンバをお試しレンタルしている。部屋を片付けて床のものを全部上げて、出かけるときにルンバをスタートさせると30分足らずで掃除が終わる。アプリから確認すると、家具があるところ以外の隅々まできれいになっている。ダストボックスに溜まったほこりの量に驚いてしまった。こんなにほこりがあったとは。

なぜルンバをレンタルしてみたのかというと、狭い我が家には掃除機がなく、そして二人とも掃除が苦手だからである。クイックルワイパーとコロコロで掃除をするんだけど、どうしてもめんどくさい。そのわりにわたしはハウスダストアレルギーを持っており、季節の変わり目ということもあって、夜は寝入りばなに咳き込み、朝は目をねちねちさせて起きてはくしゃみをするという生活であった。この不調は掃除をしないからかもしれない、ということでルンバをレンタルしてみた。

ルンバで掃除した部屋で寝る。寝入りばなに咳き込むこともなく、朝の目がねちねちすることもなく、そしてくしゃみすることもなかった。本当にハウスダストだったんかという気持ちと、ルンバのハウスダスト除去能力恐るべしという気持ち。これは……。ちなみに、ルンバの名前は『不死身杉元』である。助けを求めたときに一番おもしろいかなぁと思って。

この日はクリニック。今月閉館するアネックスに行ったらなんとも寂しい気持ちになった。何十回となくハンズやプラザや無印で買い物したなぁ。クリニックはとても混んでいて椅子に座れないほど。季節の変わり目は病みやすいからね。

 

10.05

仕事。月曜日に休むとまあメールが溜まる溜まる。メールチェックをしていたら、先週木曜金曜に何度もやりとりをして言葉を尽くして説明したことが通じてなくて、思わずがっくり来るなどした。どうすれば言葉が通じるんだろうとたびたび思う。メールのライティングが苦手なのもあるんだけど。

溜まった仕事をもりもり片付ける。タスクが多くて頭がぱつぱつになったときほど休憩を忘れてはいけない。ブギーボードにタスクを書き出して席を立って休憩する。ここで休憩の時間を惜しんで仕事を続けると、だいたいどこかでバテてしまうのだ。そのへんのペース配分が昔よりうまくなってきた気がする。

 

10.06

仕事。昨日からのぱつぱつ状態を解消すべく動く。基本的に在宅勤務の部署なんだけど、この週は出社している人が多くて、人の多いオフィスの感じを忘れていたので戸惑う。

帰り道、気分転換に違うルートを通って帰るのもいいですよとカウンセラーさんに言われたことを思い出して別の大通りへ回ったところ、ものすごい上り坂を上らされた。もうこの道無理、と思っていつもの道のほうへハンドルを切ったら猛烈な下り坂で、しかも街灯があまりないのでめちゃくちゃ怖かった。暗い道を自転車で猛スピードでかっ飛ばす。こんな恐ろしい思いをするのなら別ルートを通るのはやめておきたい。

先日図書館で借りてきたムーミンあみぐるみの本を見ながら編んでいたムーミンの頭ができあがる。編ムーミンと名付けた。そのまんまだな。

 

10.07

仕事を終え帰宅すると、夫のところに義母から電話してくるようにとの連絡があった。夫が義母に電話したところ、子はまだできないのかという内容であった。そのことを繰り返し問われて夫は話せなくなってしまい、わたしが電話を代わった。義母は夫より三つ年上であるわたしの年齢を案じて電話してきたようだった。わたしに病気があり、しばらくは日常生活を送れる体調を維持することを優先するという治療方針のため、子は当分持てないと話した。「それでもゼロよりは1の方がいいよ」と言われて思う。わたしと夫の間に子はいないけど、それはゼロなのだろうか。

わたしと夫は結婚前に話し合い、さまざまな要因を考慮した上で、子は持たないと決めて結婚した。だけど、それは本当に正しかったんだろうか。正しかったと言えるよう生きていくしかないんだけど、それでも迷ってしまう。それはわたしのわがままなのかもしれない、と。

ところで、子のことを問われた際に持たないとは言わず、「子は授かり物なので」とお茶を濁し続けるというライフハックがあるようなのだが、このライフハックの脆いところは「できないのではなく、子を作ろうとしてないからできないんだろう」と突っ込まれる可能性があるというところだ。身を持って実感した。

 

10.08

仕事。昨日のことがあったわりにはちゃんと仕事に行き、仕事をする。しかしどうしても昨日のことを考えてしまう。夫婦で抱えるにはあまりにもつらく、中学からの親友たちに話を聞いてもらった。彼女たちはそれぞれ二人の子を持つ母でもあるのだけど、わたしの選択を否定したことは一度もなく、それだけに安心して話すことができる。わたしの周りのひとたちは理解を示してくれていることに助けられる日々だ。

夜、もしもの話が頭から離れなくなり、夫に話した。もしも夫がわたし以外の誰かと結婚していたら、今ごろ子がいて、夫は父になっていたんだろうか。そして義母から何かを言われることもなかったんだろうか。夫もやはりもしもを考えることがあるそうで、「でも、なぎささんと結婚したことに後悔はないよ」ときっぱりと言ってくれた。

 

10.09

休み。新栄のギャラリーで行われているねこ休み展を見に行く。SNSで人気の猫の写真の展示とハンドメイド作家の作品の販売というイベントだったのだけど、わたしの好みからはやや外れていた。SNSで人気の画像をプリントして展示する難しさを思う。デジタルベースの画像で見ると確かにかわいいんだろうな。

久屋大通に移動し、閉店するアネックスでセール品を買う。アイラップのお徳用パック、一包タイプの入浴剤、ビオデルマのクレンジングウォーター。アネックスは中学の頃からずっと行っていた場所なので寂しい。確かに老朽化してきたなぁとは思ってたけど、まだまだあるような気もしていた。

アネックスのお茶屋さんでマイボトルにお茶を詰めてもらう。お茶屋さんはセントラルパークに移転するそうだ。きれいな緑色のつめたい煎茶はおいしくて、お茶屋さんでお茶を詰めてもらうという楽しい行為を覚えた。

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