短歌の目 第8回:10月 Gコードに薬指が触れて
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今月も短歌詠みました。
ひっそり、そろそろここだけに立ち止まっていてもいけないと思っていたりします。
* ☆ * ☆ *
1. 上様
一休が母上様と呼び掛ける声になんだか泣きたかった
2.まれ
鐘の音よ静まれ鎮まれ聞こえるな誰にも知られることのないよう
3.ピアノ
鍵盤が似合いそうな指を喰む 最初はp(ピアノ)から<(クレッシェンド)
4.星座
「星空をあげる」と言った人からの星座盤さえ色褪せていく
5.々
木々揺れて「我々は『おなじ』ではない」とざわめく夜に『おなじ』で変換
6.G
7.眠
グラフ紙の二次関数を駆け抜けた居眠り満ちる教室の午後
8.紫
「紫は高貴な色と言うでしょう」ドレスの彼女の下卑た口紅
9. ひたひた
ひたひたの水で林檎を煮詰めてくキッチンを埋めるただしい孤独
10.【枕詞】秋の田の
秋の田の稲穂刈るように大胆に明日のレシピも刈り取ってゆけ