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さらさら録

日々のさらさらの記録

酒と涙とぷらっとこだま

はてブに追記したいこと 日々のこと

11月初頭の3連休と有休を合わせて、東京まで旅に出てきた。
その旅については少しずつ書き残したいけど、ちょうどタイムリーなエントリがあったので、いきなり帰り道の話。

negi_a - 『新幹線で飲む酒 - 話半分で聞いてください』 へのコメント

昨日ぷらっとこだまワンドリンク引換券でゲットしたプレミアムモルツを飲みながら「旅が終わっちゃうよぉ」と感傷に浸りぼろぼろ泣いていた。ぷらっとこだまは新幹線酒にぴったり

2014/11/04 21:50 にブックマーク

恥ずかしくもあり、ある意味とても幸せな旅の終わりについて。

ぷらっとこだまで帰ろう

ぷらっとこだまJR東海ツアーズが旅行商品として販売してる、こだま乗車券とワンドリンク引換券がセットになった切符。
旅行商品なので、ちょっと注意が必要。

個人的主観によるデメリット
・のんびりうっかりしてると土日の席が埋まりがち。

・乗り遅れても振り替えることができない。
JR東海ツアーズ窓口かサイトでないと買えない。みどりの窓口や自販機では買えない。ちとめんどい。
・乗車日前日までに買わなきゃいけない。
・のぞみなら東京-名古屋間3駅だけど、なにしろこだまなので12駅になる。*1
有人改札しか通れない。*2


個人的主観によるメリット
・金券ショップでチケットを買うより安い。東京-名古屋間8100円。
・名古屋止まりが多いので安心して爆睡できる。*3
・ばんばんN700系も走ってるので乗り心地がいい。
・埋まってない限りは座席指定できる。
キヨスクでアルコールOKのワンドリンク引換券がついてくる。
・新幹線の快適さと速さを残しつつ12駅もあるので旅の情緒がある。


ということで、昼行バスもあったけど、翌日から仕事ということもあり、ぷらっとこだまプチブルな帰り道を選択した。
乗りたい電車が埋まってて2本前の15:26発のこだま667号、しかもラスト1席だったのでB席だったけどね。


旅の終わりのビールと胸が痛むほどの感傷と


http://instagram.com/p/u7b6qkmDpg/



久しぶりの旅、しかも3泊4日。会いたいひとたちに会って行きたいところたちに行って、体調を崩すこともなく思いっ切り満喫できた。
行きに較べて膨れ上がった荷物と、「楽しかった!」という言葉しか出ないほどの思い出と、東京駅で引き換えた東海道新幹線50周年記念のプレミアムモルツ*4を持って新幹線に乗り込み、ホームまでおくりびとに来てくれた大事な友達に手を振った。新幹線は滑らかに静かに発車して、友達の姿が見えなくなり手を下げてからほどなくして品川に着いた。
品川で乗ってきた女性はスターバックスラテのトールをテイクアウトしてきて、しかもワンドリンク引換券で伊右衛門特茶をゲットしテーブルの上に並べていた。プレミアムモルツとミックスナッツ*5を置いているわたしは格の違いを見せつけられたような気がした。
しかし、スタイリッシュさなんて、新幹線酒には必要ないのだ。むしろ、そんなものからは離れた方が情緒がある。


ぷしゅっと缶を開け、景色とナッツをつまみながら飲むビールのおいしさよ。わたしはあまりお酒が強くないけど、新幹線ではビールを飲みたい。だって、新幹線にはビールが似合う。
隣の女性がすいすいとスターバックスラテを飲む姿を横目で見ながら「昼間からひとりでビール飲んじゃってすみません」と心の中で謝りつつちびちびゆるゆるとビールを口に運ぶ。おいしいという感想より前に、楽しいという気持ちがしゅわっと喉を流れていく。景色は車窓を流れていく。東京でミシェル・ゴンドリーの世界一周展に行ったこともあって、まるで今の車窓のようなケミカル・ブラザーズのStar GuitarのPVやそのパロディ動画もおつまみに加え、猛スピードでゆっくり進むこだまの中でビールを楽しんでいた。


乗りたかった電車より1時間早くなったこだまは、明るい東京駅を出てちょうどよく秋の夕暮れ時の中を西へ走る。三島を過ぎたあたりから、駿河湾に沈もうとする夕陽が見えてきた。丸くて朱くて水平線の彼方へ落ちゆく夕陽がとてもきれいで、わたしはとあるフレーズを無意識のうちに思い出していた。

美しいこの星に訪れた 夕暮れ時の瞬間
せつなくてせつなくて胸が痛むほど

…あ。
その瞬間、両目からぼろぼろと涙がこぼれ落ちた。

小沢健二《ぼくらが旅に出る理由》 - YouTube
旅に出るのではなく、むしろ遠くまで帰るのに。そのときのわたしにあったのは、旅に出る理由ではなく旅から帰る理由だった。そして、旅が楽しかったのは、帰る理由があるから―つまり、終わりがあるとわかっていたから。また明日から、いつもの毎日が続いていく。そんなことは十分わかっていたのに。
旅が終わってしまうこと。
会えたひとたちの笑顔ばかりが思い出されること。
今回会えなかったけど「会いたかった」と言ってくれたひとたちのこと。
行きそびれた場所やし損ねたこと。
そんなことが次々と思い出されては涙になってこぼれ落ちる。端から見たら、一人酒に酔って泣いている変な女だっただろう。でも、ここは新幹線。いろんな事情を抱えた人が乗っている長距離列車という特徴のおかげで、わたしはひとり泣いていた。

遠くまで旅する人たちに あふれる幸せを祈るよ
ぼくらの住むこの世界には旅に出る理由があり
誰もみな手を振ってはしばし別れる

わたしは旅から帰る人間ではあったけど、東京で会えたひとたちや会いたかったひとたちのことを想い、幸せを祈った。「またね」と手を振って別れたひとたちとの再会を祈った。わたしには旅から帰る理由もあったけど、また旅に出る理由もできたのだ。
ほどよく酔いの回った頭に流れる小沢健二の「ぼくらが旅に出る理由」*6はとても心地よくて、そしてこの曲がせつなくてせつなくて胸が痛むほど心にしみたのは初めてだった。ほんの少し夜の色が濃くなってきた頃富士山を過ぎて、陽が落ちた頃にようやくわたしはビールを飲み切り、そして泣き止んだ。
新幹線酒の酔いと美しい夕陽と楽しかった時間の揺り戻しといったものが重複して大泣きしてしまったんだろう。そして、そこまで泣いてしまうほど楽しい旅だったんだ。



名古屋に着いた頃にはすっかり夜だった。
今思えば、乗りたい列車より1時間出発が早まったことで、明るいうちに東京を出て新幹線から夕暮れ時を過ごし夜の名古屋に帰るという贅沢な新幹線に乗ることができた。その涙さえも、旅の素敵な思い出。



帰りの新幹線酒は、旅の終わりの感傷にたぷんたぷんに浸ることができる。
こだまでワンドリンクのアルコールと一緒にのんびりと進むことで、その感傷は増幅される。
ぷらっとこだまは、帰りに新幹線酒をするのにはもってこいの切符だ。
これも、今回の旅の収穫。


いきなり終わりから書いてしまったけど、新幹線酒で感傷に浸りきったことで次の日からすんなり続いていく毎日に戻ることができたと思っている。
時々ふわふわと思い出す旅の余韻を残しながら。

*1:時間にして3時間前後。追い越しの関係や時間帯で前後するけど。静岡長いよ静岡

*2:新幹線ホームまで来てくれたおくりびとが「改札に書いてある「うらが白色のきっぷ」ってこれのことか!」と言っていた。こういう切符のことだ。ありがたいことにずっと荷物の一部を持っていてくれたので、おくりびとの腕が筋肉痛にならなかったか心配

*3:新大阪まで行きたい人にはデメリットか

*4:値段関係なく引き換えられるので、けちくさいけどヱビスプレミアムモルツにすることが多い

*5:駅弁をつまみたいところだけど時間的にお腹が減ってなかった。孤独のグルメのジェットシウマイは今はないらしい。残念

*6:個人的に安藤裕子ねえやんとフジファブリックのカバーも好き

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