さらさら録

日々のさらさらの記録

いきづまる、な

 なかなか言葉を綴ることができないでいる。思うこと考えることはあるけど全部つっかえてしまうか泣き言に変わっていってしまうかなので、ツイッターでのつぶやきすらかなり減ってしまっている。そんな中で本を読める通勤環境になったのに読むこともできず、それどころか普段読んでいるブログすらなかなか読めないでいて、だけどどうにか毎日カメラは持ち歩いて撮れてはいる。ただ、日中外に出ることのない仕事なので、ひたすら夜の写真ばかりになってしまうんだけど。
 そう、新しい仕事に就いてから1ヶ月が経った。その間に誕生日もあった、よく1年生き抜いたねと感慨に浸る間もなく過ぎていった。新しい仕事はどうかと言われたら、まあ仕事ってこういうもんだよねとしか言えない。昔もこういう仕事はしていたし、そのときより環境はいいしがんばるしかないだろう。紹介予定派遣なので正社員化前提ではあるのだけど、一般派遣から正社員化されるより社内での課題が大きくスケジュールもタイトなので、これから本格的に引き継ぎが始まるとメンタルの強さが試されることになる。それを思うと今から怖くてたまらないけど、いろんな会社を渡り歩いて危ない橋も渡ってきたのだからだいじょうぶ、とりあえず目の前の業務をきちんとこなさなければならない。
 会社にはわたしを面白がってくれる人がいる反面よく思ってない人もいて、これまでも嫌われるか好かれるかの振り幅が大きかったから、そこは仕方ないなと思ってる。嫌われたり否定されるのは怖いけど、そういう声は適度に受け流して、わたしを面白がってくれる声を信じて懸命に励むしかないのだ。女の子特有のねちねちした人間関係を苦手とする者にとってはちょっとつらいねちねち感はあるけど、そろそろそういうものを受け流せるようにならなきゃいけない。怒鳴り声がしない環境なんだから、耳を塞げば小さな声は聞こえない。
 どちらかというと恵まれた環境だし、ちゃんと研修プログラムも組まれててステップを踏んで教えてくれるので、かつて先輩から仕事を教えてもらえなかったことを考えるととても有り難いと思う。なのにどうしようもなくつらくなることがあって、たぶんそれはわたしの精神が新しい環境に慣れるのに時間を要するからなのだろう。いつだって泣きたくて、だけど誰もが超えてきた道なのだからと歯を食いしばる。
 ベルばらで、オスカルがアンドレに愛を告げるシーンで彼女はこう言う。「わたしの存在など巨大な歴史の歯車の前では無にもひとしい だれかにすがりたいささえられたいと… そんな心のあまえをいつもじぶんにゆるしている人間だ」と。ああまさにそれだ、わたしはそうした甘えを自分に許しているのだ。だけど、オスカルはずるいよ。アンドレがずっと自分を愛し傍にい続けたことを知って言ってるんだから。そんな心の甘えを自分に許したところで、ひとり泣きこうして泣き言を綴りこんなんじゃダメだ甘ったれるなと、気高く美しく真っ直ぐで愛されるオスカルに遠く及ばないわたしは膝を抱えて丸まっている。
 そんな中でヴェルタースオリジナルのCMをうっかり見てしまうと何とも言えない気分になる。「一粒食べれば、きっとあなたも特別な存在だったことを思い出す」みたいなナレーションで、特別な存在であったことのないわたしは一体何粒何袋食べればいいんだろう。そんな魔法みたいなことなんてない。ヴェルタースオリジナルはおいしいけど、ただ甘ったるくてこっくりとしたおいしい飴だ。
 撮った写真を見返してると夜の写真ばかりで、そこにはイルミネーションが多く写っている。わたしはこの、凛と冷えた中にきらきらとハッピーな空気が散りばめられたホリデーシーズンが好きで、なんだか愛おしい気持ちになる。ツリーの前で自撮りする女子高生やスマホのカメラで写真を撮ってるサラリーマンを見ていたらなんだか愛おしい気持ちがこみ上げてきて、息詰まるし行き詰まる日々の中でも何とか生きていけそうな気がした。
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