さらさら録

日々のさらさらの記録

親と喧嘩して謝って許されなかったけど

教えて!gooがホッテントリなんて珍しいな、と思って開いた先は地獄だった。

親と喧嘩して謝ったけれど - 夫婦・家族 | 教えて!goo

相談者の親に明らかに問題があるのに追い討ちをかける回答者を見て地獄だと思った。かつての自分のようなこの相談者を抱き締めてあげたい。

2015/04/24 08:24

わたしもこの手の楽しみを奪う・必要な物を与えない罰をもって親に従って生きてきた。相談者と違って、親が公言する通り成績で叱られたことはなかった。ただ、ティッシュをポケットに入れたまま洗濯してしまったり、習字の検定前で長めに練習して帰宅が遅くなったり、自転車の鍵をなくしたり、そうしたことで凄まじく叱られあらゆることを禁じられた。そして、相談者と同じように泣き叫びながら許しを乞うた。そのたびに、母上様は「泣いて謝れば済むと思ってるでしょ!」とますます激高し怒鳴り散らした。そして、相談者と同じように、母上様と妹が普通に会話しているのにも関わらず、自分だけを無き者のように扱う態度に傷つき仲直りしたいと思った。頭を冷やして再度謝っても許されず、それは親から突きつけられた存在の否定のようで、「お母さんを怒らせ困らせる自分なんていなければいい」と自分を責めた。

恥ずかしながら、アラサーになり心身を壊して実家で暮らしている今でさえ、母上様*1の逆鱗に触れたらこれが待っている。母上様の逆鱗のポイントはわからないが、妹が同じことをしても叱られずにわたしだけ激怒されることを考えると、要領も悪くてひねくれていて素直じゃなくて言うことを聞かなくてどんくさくて見ているだけで苛々する*2わたしに問題があるのだろう。
「ごはんも洗濯も全部自分でやって!」
「わかった、やるから台所と洗濯機開けてよ」
「使ってるのがわからないの!?あんた邪魔だからあっち行って!もうどこへでも行って!」
「」
実家に戻ってから、何度この類の言い争いをしたことか。すべて親任せにするわけにはいかないので、幾度も自分のことはすると申し出ているし母上様もやれと言うのだけど、いざやろうとすると「触るな!」と一蹴されるのだ。たぶん、主婦である母上様にとって侵されたくない領域が家事なのだろうと思ってはいる。いるけど、逆鱗のたびに同じことを繰り返し、「あんたなんか娘じゃなくてただの居候だから!」と怒鳴られるのはやっぱり理不尽だ。
親の元で暮らすほどに、わたしは家賃の代わりに精神力を支払って生きている、と感じる。

この類の話でよく父親不在が指摘されるが、わたしの場合、母上様がこれをやるのは父上様が不在のときだけだ。なので、父上様はこれを知らないし、何かの拍子に知ったとしても母上様を庇うだけだ。ごくごく稀に、期待できないほど薄い確率で諫めてくれることもあったけど、その影響の小ささは未だにこの類の支配が続いていることからもわかるだろう。父上様も妹も入れない、母上様とわたしだけの世界がこの家にはあるのだ。


長々と自分の話をしてしまったけど、こうして繰り返し子供を支配する親は、変わることはないと思ってもいい。
子供が成長するにつれて奪う対象は変わるけど、構造は同じままだ。子供から何かを奪い脅すことで支配することは躾ではないし、子供は親の分身でもなければ操り人形でもない。それを理解できない親というものは確実にいるのだ。
わたしの主治医は、わたしのメンタルが壊れた原因のひとつが母上様であることを彼女自身にきっぱり指摘している。「苦しめてごめんね」とその場は謝罪したものの、その後もこの構造は変わることなく、下手すりゃ伝家の宝刀「あんたを殺して私も死ぬ」が炸裂する環境下にある。主治医やカウンセラーからは、「親にこだわることはない。あなたはあなたで親御さんではないんだから」と言われ続けている。
子供は親ではない。これは、とても大切なことだ。


わたしは、冒頭の教えて!gooの相談にかつての自分を見出し、そして回答に戦慄した。今もなお親の支配下にいる身にとって、身を守るために重ねたかさぶたを鋭いメスで突き刺した上に、ゆっくりぐるりと刃を回転させながら更に奥へ刃を進めるような痛みだった。
親の気が立ってるから?気が立ってたら大切なものを奪って服従させてもいいの?母親は絶対的に子供の味方なの?苛立つからと突き放すのはただの八つ当たりではないの?回答者に問いたくなった。そして、この回答を見たときの相談者を思うと、胸のあたりがぞくっと冷えるのだ。

冒頭の教えて!gooの相談者である少女の痛みはどれほどだっただろう。そして今、親の支配に苦しむ10代が、あの教えて!gooにたどり着いたとしたら。
その地獄の再生産を食い止めたいと言ったらおこがましいし、自分が大人ぶってアドバイスなんてとてもできる立場じゃないけど、親やあの回答者たちのように子を当たり前のように支配する大人ばかりじゃない。安心できるよう寄り添いたいと思う大人もいる。そう伝えたかったのだ。
実際、ブックマークコメントを見ると、親や回答者に異を唱える声が多い。この声が、相談者や、今同じように苦しむ子に届いてほしいし、届く手段を増やしたくてこのエントリを書いている。
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何度でも言うけれど。
自分は自分であって、自分は親ではないし親は自分ではない。
心はもっと自由なもの。
このふたつだけは、覚えていてほしい。
今すぐに親の支配から抜け出す手立てにはならないけど、支配されているうちに体に巻き付けられた鎖をほどいていく鍵にはきっとなるから。支配されていることに気づくことが、自立への大きな一歩になるから。
親と喧嘩して、謝って、許してもらえなくても必要以上に自分を責めなくたっていい。自分の人生なんだから、親の理想じゃなくて自分の望むように生きたっていい。自分を守ることを第一に考えたっていい。

そして、子供を同等に扱うことなく下に見て説教をかまして気持ちよくなる大人もいれば、同じ目線に立って何も言わずに見守ってくれる大人もいる。どうか、そういう大人の存在に気づけますように。
そう願ってやまない。


大丈夫だよ。そう言って抱き締めたいけど、それができないもどかしさをディスプレイの向こうに感じている。
どうか、悩める子供たちに、少しでも届きますように。

*1:このブログで「母上様」「父上様」と書いているのは日本語の誤りではなく皮肉です

*2:すべて母上様の弁

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