さらさら録

日々のさらさらの記録

求職(無職)日記

無職になって2ヶ月弱、転職活動を始めて3ヶ月強、未だに内定はない。そういう人の求職の記録的なもの。

転職エージェントなんて知るもんか

在職中から転職エージェントを利用しようとしたことはある。何社かに申し込んだ。しかしすべて、「紹介できる案件はありません」とお断りされ面会すらできなかった。年齢と転職歴で跳ねられたのは自分でもわかっている。転職エージェントは依頼元企業に人を送り込んで報酬を得るシステムだ。キャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーなんていうもっともらしい名称を名乗っていたところで、その転職希望者がカネになるかどうかを考えている。つまりわたしは、カネにならない転職希望者と判断されたことになる。カネになる転職者かどうかは年齢や職歴以外にも、希望職種や地域といった要素もあるので、わたしと似たようなスペックでも地域や職種によっては跳ねられないこともあるだろう。ただ、地方で営業・エンジニア系以外だと、エージェントを使うのは難しいんじゃないかというのが個人的な感想。名古屋ですら地方になる転職市場。
余談だけど、先日「有休を取る際のマナー」という記事を掲載して炎上した転職エージェントは、評価が高いようだけど個人的に人をバカにしていると思った。「適正年収チェックをしましょう!」と持ちかけてきて「あなたの適正年収は5XX万円です!今より3XX円アップ!さあエージェントに申し込みましょう!」と誘ってからの「ご紹介できる案件はありません」。スピード感ある対応に、思わず頭の中に浮かんだ言葉は「墓地が無料!今すぐ死ね!」だった。

転職サイト疲れ

いくつかの転職サイトに登録して、希望条件で絞り込んで、予め登録してあるWeb履歴書に毎度志望動機を書き加えてエントリーする。という行為にすっかり疲れてしまっている。広告費を払っているのであろう、常に上位に表示される特定派遣の会社。派遣会社の求人。自分に対してお祈りした後もなお求人を出し続けている企業。基本的にいいことばかりでキラキラしている求人を見ていると目が滑るようになった。あまりにお祈りされ続けたからかもしれない。だって、こっちは1社1社考えて志望動機を書くのに、向こうはテンプレート通りのお祈りメールでおしまい。転職サイトは簡単に応募できる分、応募者が殺到しやすい。その分、年齢や職歴という数値化できる部分でばっさり切ることになる。売り手市場なんて嘘だ。
また、転職サイトにはスカウトメールという機能があり、企業側の条件にマッチした転職者にメールが届く仕組みになっている。このスカウトメールがうるさい。運転免許を持っているだけでドライバーのスカウトが来たり、既にお祈りを食らった会社からスカウトが来たり、なぜか電気工事士のスカウトが来たりする(資格すら持っていないのに)。「◯◯インターから車で5分の通勤至便な立地です!」ってどこが至便なんだ。しかも「未読のままのスカウトはありませんか?」と追い打ちをかけてくる。免許は持っているけど運転はできないんだってば。
そういうわけで、最初は便利だと思っていた転職サイトにもすっかり疲れている。電車に乗っているとあちこちに転職サイトの広告が出ていて、何とも言えない気持ちになる。某転職サイトを開くと出てくる「内定を取るまでに最低10社エントリーしましょう、内定が出るまで平均6社です」という文言を見るたびに「こっちは80社だっつーの平均じゃなく中央値を出せ」と毒づいている。
転職サイトを使って覚えたことは、メッセージの件名が「選考結果のお知らせ」だった場合100%お祈りであることくらいだ。

派遣会社に登録してみた結果

転職サイトからのメールと同じくらいうるさいのが派遣会社からのメールである。紹介予定派遣で事務の正社員を目指せたらいいなー、くらいの気持ちで登録したのが間違いだった。紹介予定派遣でない一般派遣の案内のメールががんがん来る。正社員の事務では考えられない給与のものも少なくない。だけど、交通費等は自分持ちであること、自分の身体があまり丈夫でないことを考えると、一般派遣というのは将来のキャリアプラン的にもあまり考えられない。派遣の契約が切れたときが怖い。「女の子なんだから派遣でもいいんじゃないかなぁ」と言った男性がいたけど、いずれ女性は結婚するということを前提にした話をしているんだろうか。ちなみに、その男性は恋人でもなければ友人でもない、知人と言えるのだろうかという間柄である。
派遣会社もスタッフを集めるのに必死らしくて、仕事状況のヒアリングの電話がしょっちゅう入る。「あの、明日面接が1つ入っているので」「じゃ1週間後くらいにまた連絡しますね」と言われた翌日に電話がかかってきたときは閉口した。あんたの会社の1週間後は翌日か。
ちなみに、紹介予定派遣の場合は派遣会社内の社内選考を突破する必要があって、履歴書と職歴書の提出も必要になるし面接が必要な場合もあると説明された。ほとんど普通の転職と同じじゃないか。そして紹介予定派遣も正社員化は少なくて、契約社員(正社員登用実績あり)というものが大部分を占める。紹介予定派遣で正社員を目指そう!という派遣会社の広告は誇大広告気味じゃないのか。

ハローワークの個別相談に申し込む

1人1担当者制、だいたい週に1回ハロワに行って職業相談および職業紹介をしてくれる窓口に申し込んでみた。エージェントに断られた今、マンツーマンで見てくれるのはそこくらいしかない。担当の職業相談員は40代後半といった風情の男性だ。今までにヒアリングした職歴を元に手元の端末で求人を検索して、そこからわたしに合いそうなものを探してくれるんだけど、凄まじい勢いで求人をスクロールしていく。「あ、ここブラックだ、これもブラックだ、またここ求人出してる」といった具合に。結局、これまで3回行って紹介を受けたのは2社だ。
その職業相談員は、わたしが添削を希望して持っていった履歴書の大学名を見るなり、わたしに紹介しようと印刷していた求人票を破棄した。「こんな大学出てる人に紹介できる仕事じゃなかった」と言っていた。また、めぼしい求人票を開いては「これは管理か、男の事務だな」などと言って閉じてしまう。個別相談ブースのパーテーションに提げられたカレンダーには「なくそう就職差別」の文字が踊っている。ミスマッチを防ぐという意味では、職業相談員の言動にも一理あるのだろう。これが建前と本音というやつなのだろう。だけど、建前と本音というものをよく理解できないわたしにとっては、行くたびにもやもやとした気持ちを抱えて帰ることになるのだ。

事務というお仕事

以前、事務で応募した会社に面接で行った際に面接官から言われた言葉がある。「事務で求人出してるのに男から3割くらい応募が来ててね、男なら外回りしろよ!もっとでっかい仕事を成し遂げろよ!って思うんだけどね、あっこれは余談だから」と。わたしはその言葉を聞いて、「何で男が事務やっちゃいけないんだ何で男ならでかい仕事を成し遂げなきゃいけないんださっっっぱり意味わからん」と腹を立てていた。落ちたけどこっちとしてもそんな会社は願い下げだった。ハロワの担当相談員も、応募者の内訳を見て「男も応募しとるなぁ」と言っていた。
男女雇用機会均等法の下にあるんだから、男性事務がいたって全然構わないはずなんだけど、そういう意識はあまり浸透してないらしい。
これまでも事務で働いてきて、やっぱり事務かなーと思って探しているんだけど(ハロワに至っては事務でしか探してくれていない)、事務の正社員の給与の低さや派遣求人の多さを見るにつけ、事務は既婚女性の仕事なんじゃないかと思えてきた。それで身を立てる仕事ではなく、メインの稼ぎ頭である夫がいて成り立つ仕事。だから、男性の事務という考えは新卒採用時以外頭にないし、カネを直接稼いでこない間接部門に人件費を回したくないんだろう。

自分を面白がってくれる会社?

ドクターに、転職活動がうまくいってないこと、面接が苦痛であることなどを伝えた。「協調性なんてまったくないのに協調性を問われるところばかりでしんどい」「長所や短所を聞かれるのがつらい」「どう答えたって協調性がないことがバレてしまう」などなど。自分の性格が悪いんだけど、それにしても協調性を求める求人が多すぎないか。ドクターには、「偽って取り繕ったって後々あなたがつらいだけだから、少し言い方を変えてみなさい。あなたは社会の枠組みから少しはみ出しているし、あなたのことを変わってると思う人もいるでしょう。だからこそ、あなたを面白がってくれるところで働きなさい。前の会社はあなたを面白がってくれたんだから、そういう職場はきっとあります」と言われた。果たして、わたしのような協調性を欠いたコミュニケーション能力に難のある建前と本音を理解できない人間を面白がってくれる余裕のある会社なんてあるんだろうか。仕事は与えられたもの以上にきちっとやるし自分で考えて動くことだってできるけども。


こうやって書き連ねてみると、だから無職なんだよ!と自分で言わざるを得ない。
それでも、好きなことをして生きるための食い扶持として稼がねばならない。奨学金も返済しなきゃいけないし。
だけど、転職活動をしていると、建前上ないことになっている差別が歴然と存在していることを目の当たりにして、どうにもモチベーションを見失っている最近である。

* ☆ * ☆ *

ここまで書いて下書きに入れていたら、転職活動中唯一どうしても働きたいと思えた会社から不採用通知が届いた。当初応募していた事業部から別の事業部に移して選考を行いたいと先方から要望があり、こちらもそれに応じていたのだけど、いらないと言われたらそれまでだ。
他の応募者と比較し、そしてふるいにかけられるという構造が苦痛でたまらなくなる。そこにわたしという人間はいるのだろうか。

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