さらさら録

日々のさらさらの記録

職場で使われてる「焼く」について

仕事中に「これ、焼いといて」と言われたら、どういう行為を想像するだろう?


油を敷いて十分に熱したフライパンの上にじゅうっと書類を乗せたり、十分に予熱をしたオーブンの中に書類を入れたり、そういうことでは断じてない。


何でこんなこと言い出したのかというと、最近、仕事で3種類の「焼く」を経験したから。
その3種類の「焼く」とは、

1.書類を「焼いて」コピーする
2.書類を「焼いて」PDF化する
3.データをCD-Rに「焼く」

どれもこれも、みんな同じ「焼く」。なのに、指す行為は全然違う。
これってなんだかとっても面白い。そして紛らわしい。
スキャナの前でPDFを大量に焼いてた真っ最中に「これ焼いてくれる?」と資料を出され、よっしゃこれも焼くかとスキャンしようとしたら「違う違う、紙に焼いてくれればいいから」と言われて一瞬きょとんとしてしまった。
少しして、「ああコピーのことか!」と思い至ったけど、考えてみたら「焼く」だけじゃどうすればいいかわかりにくいかもしれない。


ということで、ほぼ日でかつて連載されていたオトナ語の謎を見てみると、
このように説明されている*1
コピーとCD-Rは触れられてるけど、この頃はPDF化することを「焼く」とは言わなかったんだね。


CD-RやDVDにデータを入れることは学生時代から「焼く」って言ってた。
USBメモリ*2にデータを入れることは「移す」って言うことが多いのに。
コピーを焼く?うーん、確かに大量コピーすると書類の束が熱でほっかほかになるけど。
PDFに焼く?今までの会社でも今の会社でもPDF化することを「焼く」派と「落とす」派に分かれてるんだけど、どこから「焼く」って来たんだろう?
なんて、帰り道にぼんやり考えて思い出したのは、写真のこと。

そういえば、祖父は写真をフィルム*3から現像することを「焼く」って言ってた。
「焼増」って言葉もあるし。

…あー!
腑に落ちた。しっくり来た。
「現像する」って意味だったのか!


焼増するから、コピーを焼く。
書面をデータ化して閲覧できるようにするから、PDFに焼く。
データをネガのように残すから、CD-Rに焼く。
「現像する」という行為を念頭に置いてみると、どれもこれも納得。
こうして並べてみると、平べったいものに対する言葉に使われてるような気もする。
写真もネガも平べったいものだしね。


そしてすごいのは、いろんな意味の「焼く」という言葉が、会社や業界が違っても共通認識として使われてること。
何度か転職をして違うところに勤めてきたけど、どこでも「焼く」って言葉は当たり前に使われてた。
独自の意味さえも共通して使われるなんて面白い。
個人的な推論でもいいから、仕事で使われる言葉の由来を考えてみるのって楽しいかも。




http://instagram.com/p/r6v5qKGDtH/
焼いてたらもらった焼菓子。
夜のお菓子うなぎパイ春華堂が昼のお菓子として出してるしらすパイ(辛口)。
醤油の辛さとしらすの旨味とパイの甘みが絶妙なハーモニーで、個包装されてなかったらやめられない止まらないになりそう。おいしい。

*1:JWord検索というところに時代を感じさせる。JWordなんて10年ぶりくらいに見たぞ…と思ったらオトナ語の謎。自体2003年のコンテンツでびっくり

*2:USBメモリのことをUSBって言っちゃう人は社会人の70%以上はいる気がする。これも謎

*3:祖父が「フイルム」と言っていたおかげで未だに「フイルム」って言っちゃうし「フィルム」って言うと噛みそうになる

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