さらさら録

日々のさらさらの記録

手で書くということ

 

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インターネットから、正確に言えばSNSから1週間ほど姿をくらましていた。その間、連続出詠を続けている『うたの日』以外はインターネットに浮上することもなかった(前回の記事は予約投稿)。何があったのかは語らないとして、その間何をしていたのかというと、普段ネットに書き綴るような自分の思いを手書きでノートに書き綴っていた。それが奥のツバメノートである。

アナログな感覚を大事にしようと思い、手で書いていたのだ。

愛用の万年筆の中でも特に気に入っている2本を気分で使い分けながら、決してうまいとは言えない字で自分の思いを綴っていく。そうして書いているうちに、自分の考えが自然と整理されていくのを感じた。手で書くというアナログな行為は、精神と身体の感覚を一致させてくれる。デジタルだけだと精神(感情)だけで突き進んでしまうのだが、手を介してノートに一文字ずつ書くことで突き進む前に立ち止まれるようになった。

先日、歌会に出てきたのだけど、そこに短歌ノートを作ってアイデアを書き留めている人がいた。ついついDropbox連動のスマホアプリにメモを書き残して詠んでいる自分としてははっとさせられた。詠むときこそ、即詠でもない限りは精神と身体の感覚を一致させたほうがいいのではないか。短歌用に縦書きのちいさなツバメノートも買ってあるというのに。これからはスマホアプリへのメモ以外にも、一度手書きでノートに残していこうかと思っている。

たびたびツバメノートの名前が出てくるけど、万年筆を使うようになってからノートはツバメノートばかりになった。書きやすく裏抜けもせずノートらしい面構えもよい。売っているところが限られてくるのが難点だけど、ツバメノートのクラシカルさをわたしは好ましく思う。

姿を消している間に、手書きの手紙も届いた。手紙なのだからまぁ手書きなのだけど、自分のことを想って綴られた文字が並んでいることはとてもうれしい。読んですぐ、返事を書いた。あんなに早く届いてほしいと思ったことはないほどだった。それくらい、あの手紙はうれしかった。

これから先、煮詰まったり思い悩んだりしたらまずは手書きでノートに思いを書きなぐるようにしていこうと思う。SNSに投稿してしまう前に、まずは精神と身体感覚とを一致させ客観視するようにしよう。そして、承認欲求の鬼となる前に、自分で自分を認められるようになりたい。

『球場三食』を読んで野球場に行こう

プロ野球が開幕して早1ヶ月余り経った。我がドラゴンズは開幕5連敗さえなきゃなあといった具合である。いや、まだまだ諦めてないけど!

そんな開幕に先立って発売されたのがこの漫画、『球場三食』。12球団のファンクラブに入り、野球観戦日は朝食昼食夕食すべてを球場飯で賄うことをポリシーとした男の漫画だ。

 

 この表紙、神宮球場名物ウィンナー盛りを持ってポーズを取る主人公なんだけど、野球好きなら見覚えのある構図だろう。元横浜・ハマの番長こと三浦大輔の自撮り写真(ばんてふフレーム)である。こんな小ネタを見ればそりゃ期待は高まるものだ。

球場飯を食らいながら、球場の魅力を余すことなく伝えてくれる。現地観戦した人ならわかる球場萌えポイントみたいなものの描写が丁寧でまたぐっと来る。とにかく野球場に行きたくなる。これはグルメ漫画ではなく、れっきとした野球漫画だ。表紙以外に散りばめられた小ネタも楽しい。小ネタで爆笑したのはマツダスタジアム編のエセ中国語。あれはズルい。

主人公がどこのファンだったのかが読み進めていくうちに明かされるのだけど、この設定には唸らされた。作者を投影しているとも言えるのだけど、この設定が今の主人公の生活に説得力をもたらしている。野球、特にパ・リーグ好きならぜひ読んでほしいところ。

野球観戦漫画と言えば『球場ラヴァーズ』シリーズが有名でわたしにとってもとても大切な漫画なのだけど、『球場三食』は個人的に双璧だ。

こんなニッチな漫画がアフタヌーンで生き残れるんだろうかと心配したけど、WBCの時には本誌表紙を飾っていたので安心した。

 

アフタヌーン 2017年4月号[2017年2月25日発売] [雑誌]

アフタヌーン 2017年4月号[2017年2月25日発売] [雑誌]

 

 主人公の帽子のつばに書かれた文字がまた小ネタ。昔そういう事件があったんですよ……。

 

 作者の野球愛と球場愛を球場飯というフィルタを通して描かれるこの漫画、野球好きな人でなくてもきっと球場に行きたくなるはず。読んで是非近くの野球場に足を運んでみてほしい。野球がわからなくても、野球場の独特の雰囲気はまた格別だ。あー、また神宮球場行きたいなぁ。

面白いのでぜひアフタヌーンのサイトにある試し読みを見てみてほしい。

球場三食/渡辺保裕 第1幕 明治神宮野球場 - モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ

そしてわたしは2巻に登場する一番近い本拠地球場にして評判の悪いナゴヤドームがどう描かれるか、怯えつつ楽しみにしている。

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