さらさら録

日々のさらさらの記録

ひとりでバーに行ってきた そうそう、これこれ!編

ひとりでバーに行ってみてから、すっかり味を占めてしまった。
そこで、たまたま金曜の夜に別の繁華街で用事があったので、そのあたりのバーをさっくりバーナビで検索して行ってみた。
今回もノーチャージのお店。
ビビりゆえ、慣れないチャージというシステムが怖い。
そのくせ金曜の夜に初めてのバーにひとりで行くんだから、自分がようわからん。

前回は1階にある路面店だったけど、今回は奥まった雑居ビルのようなところの5階。
「なんかもう、怖かったら帰ればいいや」と思ってエレベーターに乗ると、中からシェイカーの軽快な音。
えーい、ままよとドアを開くと端正な顔立ちの青年が出迎えてくれた。
この前に行ったところと全然雰囲気が違って、ぐぐっと大人。
ウンターで談笑する常連さんに、ソファ席で旅行の相談をする夫婦に、連れ立って飲んでる女の子に。
コートを預けながら、またもバーテンダーさんに「あの、バーに来るの初めてで、少しお酒が飲みたくて来たんですけど…」と切り出すと、「かしこまりましたー」というお返事。
このバーに来るのは初めてなので間違ってはいない。

席に案内されて(バーの高いスツールに座るのってどうしても慣れない。そのうちうまく座れるようになるのかなぁ)、もうひとりの柴犬のようなバーテンダーさんに「お酒が弱いのでしたら、フルーツカクテルはどうですか?生フルーツ用意してますよ」と小さなメニューボードを見せてもらう。
珍しいのでPomegranate(ザクロですな)にする。
と、タッパーウェアに詰まったザクロのつぶをひと匙、ふた匙、5匙ほど大きなグラスに入れて金属の棒で潰してお酒とジュースを注ぎ、氷を入れたシェイカーカップの部分とそのグラスを合わせてシェイクして出していただいた。
シェイカーってあのフタをして使うものだと思ってたからびっくり。
できるまでの工程が見てて楽しくて、甘酸っぱいザクロが爽やかで飲みやすいカクテルで。

それをのんびり舐めながら、ふたりのバーテンダーさんの所作を眺めていた。
この前のバーではお客さんがあまりいなかったので仕事風景があまり見られなかったけど、今回はオーダーがどんどん入るので見ていてとても楽しい。
アイスピックだけでさくさくと丸く象られていった氷の浮かんだウイスキー、ほんの少しのコアントローを細い細いグラスの肌に行き渡らせて作るカクテル、塩粒の美しいソルティドッグ、グラスを磨き電灯に当てて確認する様子…
「ああ、これがわたしの思い浮かべてたバーなんだよなぁ…」

と、隣にいた一回り上くらいの常連さんに話しかけられた。
一緒にいた常連さんは帰られた様子で、「なんでまたお酒が弱い女の子が初めてひとりでバーに来ようと思ったの?」と聞かれた。まぁ、当たり前だ。隠れ家風のバーだから余計に。
「飲んでみたくなって、ちょっと1本入ったところにあって、面白いところにあるから来たんです」と答える。けど、バーに憧れてたからって言えばよかったんだよねぇ…(前回の反省が生かせてない)。
1杯で気持ちよくなったわたしと、常連さんと、バーテンダーさんたちも混じりながらいっぱい喋って笑って。
人見知りのはずなのに、とっても話しやすくて楽しくて。
ちょっと突っ込んだ話も気楽にできてしまってびっくり。
そうそう、これこれ!
知らない人と意気投合してなんだか楽しく喋るっていうのをやってみたかった!
1杯だけなのに嫌な顔せずに「見た目若いのに常連さんと同い年みたいな話しますね~」なんて言いつつチェイサーのお水をスマートに注いでくれるバーテンダーさんに感謝。

どうしよう、バーの楽しさに本格的に目覚めたかもしれない。
またあのバーに行きたい、いや絶対行く!
前回よりお値段は少し張ったけど、その数倍の満足度だった。
パンケーキ屋さんでパンケーキとドリンクをいただく値段と同じ値段を出すなら、わたしはバーに行きたい。
ひとりで黙々と甘くてほわほわしたお菓子を食べるのも幸せだけど、ひとりで出かけてもおいしいお酒と美しい所作と楽しいお喋りを楽しめるのもずっと幸せ。
次は弱めに作ってもらって2杯はいただくようにしよう。

少しだけ大人になった気分。
きっかけになったあの増田のブコメやトラバを書いてくれた人たちも、こうしてバーの楽しさを覚えていったんだろうな。
扉を開く瞬間の一瞬の緊張さえ乗り越えたら、あとはお店と自分次第で素敵な時間が待ってる。

(c)2015 nagisarasa All Rights Reserved.