短歌の目 4月 それと昨日の抱擁の果て
今回即詠です。よろしくお願いします!
題詠
1. 皿
君の背に広がる海に日が射せば河童のお皿みたいと思う
2. 幽霊
透き通る指では涙を拭えない幽霊の悲しさを知る夜
3. 入
不用意に春が街へと入り込みうっかりわたしも花見などする
4. うそ(嘘、鷽、獺も可)
知りすぎないことが幸せなんですとうそぶくわたしに吹き抜ける風
5. 時計
腕時計外せば始まる夜があり到着時刻を無視した航海
テーマ詠「新」
まっさらなノートにあなたが書き入れた文字が読めない緑のインク
カラス鳴き駅裏に撒かれた吐瀉物を新しい光で押し流す
コンビニに踊る新商品の文字一緒に踊れず立ち尽くしていた
ルーキーが落とした凡フライの行方それと昨日の抱擁の果て
新しく取り出す錠剤いくつかを飲み干すことで生き延びている