さらさら録

日々のさらさらの記録

乱題詠・3月分

乱題詠・3月お題 - 問2.日々我れ

1.アンクル・トリス 

 とくとくとウヰスキーなど飲んでいたアンクル・トリスはバーでうたた寝

2. それぞれ 

 指先にそれぞれの爪を持ち合って寄せる幼子ほっぺのぷにぷに

3.湖 

 静かな湖(静かな湖畔の森の影)から崩れゆく音楽室が


4.邪魔 

 そこは邪魔、まだ出番じゃない、この先のもっと向こうの土星あたりで

5.含む(活用可) 

 「A及びBを含む」前提に入れはしないC及び我


6.桜 

 さくさくととんがりコーンを指にはめ桜の花びら蹴飛ばしていく


7.より 

 それよりも君が欲しがるその言葉、きっと僕には窮屈だから


8.味わう(活用可)

 噛み砕くぽりぽり味わう冬の日に落ち葉の後の裸の枯れ木を

9.後
 
 「(ガタン)この電車は前後(ゴトン)にも停まります」「え、急行なのに?」

10.フロア

 デパ地下のフロアはまるで幕の内弁当みたいと鶏飯を買う


オノマトペ3首のミッションもクリア!
乱題詠はやりたい放題のびのび詠んでます。


初めて歌会に行ってきた

 誰に師事することなく野良歌人としてやってきましたが、お外に出て勉強しようと思ったのです。と予約を入れたのが1ヶ月前、その後春は気が変になりやすいことを忘れていて当たり前に不安発作に悩まされ歌どころじゃない大スランプに陥っている中、どうにか行ってきました。
 歌会が進んでいくとプロの歌人の読みと他の人の読みがまた違ってて面白くて、わたしの読みと違う読みばかりが出てきたときは面白いなぁとしみじみ思いました。わたしの場合はプロの歌人からしたら「ん?」という詠草を出してしまったのでもう反省するばかりです。「共感を呼ぶが、それは文学的な共感ではない」という批評がずしりとのし掛かりました。果たしてわたしの詠んでいるものは短歌ではないのだろうか、と咄嗟に思ったのですが、いや紛れもなく短歌を詠んでいるのでまたクールダウンしてから咀嚼して飲み込もうと思います。読みに関しては、「いい!」と思った歌のどこがいいのかをうまく言語化できなかったのが反省点。時間がない中で、瞬発的にどこまで読めるのかという部分を鍛えなきゃと思いました。
 会のあとは有志でお茶を飲みながら放談してました。顔見知りっぽい人が多いけど温かく迎えてくださり、ざっくばらんに時間内に言えなかった読みについて話したり最近の短歌界のことについて話したり、とても勉強になりました。会の最中は人見知りもあってフラッフラしてたのですが、お茶の席を設けたことでその辺のフォローもできた感じでした。そして県外から来ていた方が多かったので、歩いて栄の丸善にお連れしてお別れしてきました。
 面白かったのが、うたの日*1でお見かけする名前の方がたくさんいらっしゃったこと。ツイッターで告知された歌会ということもあるのでしょうが、「あっこの名前見たことある!」という歌詠みの方が目の前にいるというのはなかなか感慨深かったです。その意味でも行ってみてよかったです。
 来月は日程的に厳しそうですが、今度参加できるときはもっといい歌が詠めるようになりたいと素直に思いました。外に出て刺激を受けることもとても大事だということを教えてもらった気がします。
 リアルの歌会って、思ってなかった収穫もあって面白かったです。思い切ってデビューしてみてよかったです。もっとうまくなりたいってシンプルに思えた、これが大スランプ中の今一番大きかったかもしれません。

*1:毎日開催されるインターネット歌会

Dを「デー」と呼んだ日

新人君が新人研修で「D」を「デー」って言うタイプの上司の発言をイチイチ..

電話でやり取りしてみないとわかんないだろうな、こういうのは。間違えないようにデーとテーだよ。

2016/04/08 15:21

 実はわたしも似たような経験をしている。第二新卒みたいな形で入った会社は電話で聞いた部品コードや商品コードを元に発注書を切っており(ゼロ年代の話)、ひとつ聞き間違えたらとんでもないものが届くので、当然慎重に聞き返した上で発注書を切り手配していた。発注される方がみな、Dをデーと言いTをテーと言っていることには早々と気づいた。それでもわたしは、半ば意地で「ディーディーエルですね」などと聞き返していた。第二外国語でドイツ語も履修していたとはいえ、そんなダサい言い方はしたくないと思っていたのだ。
 そんなある日、仕事に就いて2週間ほど経ったころだった。発注締め時間まで間がない中、いつものようにアルファベット発音で確認をしていた、「ティーディーダブリュー……」「ごめん、出先だから聞こえない」押し問答をしている間にも時間は過ぎていく。意を決して、遂に言った。「テーデーダブル」「そう、それ!」
 かくして商品は当日出荷に間に合い、わたしはダサい読み方には伝わりやすいという利点があるのだと知った。これは実際にやり取りをしてみないとわからないことだった。その後会社が変わり、FAX注文やメールやEDI発注になっても、社内ではそのときに身につけた読み方で話すようになった。最短距離で伝わる言葉を使うことが職場では大事なのだと学んだのだ。
 D→デー
 N→エヌ、名古屋のエヌ
 P→ピー、パーキングのピー
 Q→キュー、アルファベットのキュー、オバQ
 T→テー
 W→ダブル
と、このように言うようになったのだった。
 そんな、まともに働き始めた頃のちょっと恥ずかしくて懐かしいことを思い出した。あ、代替をだいがえと読むのは業界用語というよりイメージしやすいからだと思う。「だいがえひん」って聞いたら、「あ、代わりに替えた品だな」とすぐ想起できるから。最短距離で伝えようと思ったら、そうした誤った言葉が定着していくものなのかもしれない。

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