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さらさら録

日々のさらさらの記録

うたの日出詠歌 17.02分

短歌のこと

まいにち歌会うたの日の2月分まとめ。


02/01 切れるのは蟹座のはさみくらいでしょう私とあなたの関係でしょう/『蟹』

02/02 笑顔には二つの指が添えられてピースピースイェイピースピース/『二』

02/03 別れの言葉が聞こえなくてもその日は来ると鬼は言う/『都々逸』

02/04 やり直すためなら独りも厭わぬと魔法少女は涙を捨てた/『 魔 』

02/05 いつだって僕には僕の影がありつまり僕こそ光なんです/『 影 』

02/06 ぷっくりと赤いサナギにくちづけて二人の夜に蝶が飛び立つ/『サナギ』

02/07 積もるほどわかりやすくもない恋は雪と一緒に消えていくのか/『 積 』

02/08 少年の腰のあたりに刻まれた光の刻印輝く窓際/『腰』

02/09 わかってる 振り向くまでもなく横に私の孤独がいつもいること/『横』

02/10 雪の降る音で目覚めた今日だからコーヒーを丁寧に淹れてる/『自由詠』

02/11 夕凪の時間になったら会いに来て この海もきっと渡れるでしょう/『凪』

02/12 大口でハンバーガーを頬張ってランチに三日月浮かべている君/『ハンバーガー』

02/13 違和感を覚えた君の目は左利きで世界を見ているんだね/『違』

02/14 靴底と地面がキスをするように歩く少年 もう春が来る/『キス』

02/15 すっぴんが好きだとのたまう先生に白紙のノートを提出した日 『 すっぴん 』

02/16 「白衣とはフェティシズムの権化だ」と語る君のイヤホンを舐めたい 『 白衣 』

02/17 スーパーの雛飾りは二ヶ月前のクリスマスなんて知らない顔で 『 飾 』

02/18 風花とダンスするように歩く君 転んでもいいよ、人生たまには 『 ダンス 』

02/19 海原を泳ぐくじらのような君その腹の中で暮らしてみたい/『 くじら 』

02/20 ぽつぽつと志づゑばあちゃんの馴れ初めを聞いている昼下がりの病室/『 ゑ 』

02/21 震えてる胸の奥を知られぬよう水色レースのブラジャー着ける/『 胸 』

02/22 点滴を飲み干す右腕ぐったりと沈んだ重さでベッドを潰す 『 滴 』

02/23 無造作に裸足を投げ出し眠る君 その指をそっと奏でてみる夜 『 裸足 』

02/24 傷ひとつない柱に背をもたれてる 今だけ私の身長を刻む 『 柱 』

02/25 人ごみを泳ぐには頼りないひれ あなたはどうしてすいすい行けるの 『 泳 』

02/26 風を受け羽根を広げる仕草する どこまでもゆけ私のたましい 『 仕草 』

02/27 普通っぽいこともたまにはしてみたい レモン味したキスをするとか 『 っぽい 』

02/28 真夜中に書いた手紙を読んだのは引き出しの奥の練り消しだけだ 『 奥 』

自分の殻にヒビを入れる

思ったこと

わたしには強烈な認知の歪みがある。認知の歪みとは大雑把に言うと日常に支障をきたすほどの非合理的でネガティブな思い込みと自動思考である。わたしは認知の歪みを積み上げて殻を作り、その中で“駄目という言葉を人型にしたようなもの”として生きている。この殻が自己肯定感のなさや自己卑下につながっていることもわかっていて、それを苦しいと思いながらも今更変わることなんてできないと思っていた。
だけど、最近この殻にヒビが入ってきている。
何があったのかと言っても、劇的な何かがあったわけではない。ただ、去年に本を読んで以来、多くの人と関わりを持つようになったことくらいだ。
baumkuchen.hatenablog.jp
人と関わることで、人を通した自分を見ることができる。新たな自分の分人に会うことができる。わたしに関わってくれる人は有り難いことにわたしをそれぞれの形て想ってくれている。自己肯定感に乏しく、うつむいて生きているようなわたしのことを。友人知人を通したわたしを、わたしは嫌いじゃなかった。自分で自分を見たときはあんなに大嫌いなのに。
上記の過去記事から1年ほど経って、自分の中で自分を好きな割合が少しずつ増えていた。このまま殻の中にいたら苦しいということも嫌というほどわかった。そして、何よりわたし自身が、殻を壊したいと強く思うようになった。自己肯定感が低すぎて素直に褒め言葉を受け取れないけど、友人知人はわたしを褒めてくれる。その褒め言葉を素直に受け取れるようになりたいと思い始めた。日々の中で、人と関わる中で、自然とそうした気持ちが芽生えてきたのだ。幸い、今のわたしの周りには、何とか殻を破ろうとするわたしを見守ってくれる人がいる。今まで見えていなかっただけで、手だってちゃんと差し伸べられていた。ひとりで戦う必要なんて、どこにもなかった。
少しずつでいい、変わるんだ。
変わろうと思うことで、殻にヒビが入った。
殻を割った友人は、「とても気持ちいい」と言っていた。わたしも、その気持ちよさを味わいたい。だって、少しヒビが入っただけの今ですら、そのヒビから爽やかで気持ちいい風が吹き抜けてくるのだから。いつか全身でその風を浴びたい。もう、自分で自分を縛って苦しみたくはないのだ。今まで縛ってきたものを捨てることは簡単じゃないし、捨てることは怖くもある。だから、少しずつ手放していければいい。完全に殻が割れるまでにはまだまだ時間がかかるだろう。だけど、それでもいい。変わろうと思う気持ちを持っていれば、殻を割るきっかけだって掴めるだろうから。
わたしはもう、“駄目という言葉を人型にしたようなもの”じゃない。「自分も捨てたもんじゃないかも」なんて少しだけ思えてきた今はこうして、殻のヒビから入ってくる風に吹かれていよう。今までみたいに完全にうつむいてしまわないで、少しだけ前を向いて。3月とはいえ陽射しはもう眩しくて、なのにまだ風は強いけど空気はあたたかい。殻にヒビが入ったことを、祝福されているような気がした。

うたの日出詠歌 17.01分

うたの日というインターネット歌会に出詠した歌、1月分のまとめ。
遅くなってしまった……。


01/01 鼻歌のように軽くてやわらかなたましいひとつを抱いてゆくのだ/『 平成二九年の抱負 』

01/02 寝起きにはパンチの効いた味噌汁を平坦な日などないかのように/『パンチ』

01/03 ミイラにも命は確かにあったのだ干からびているときめきにだって/『ミイラ』

01/04 Deleteキー叩いて消去した文字が金星あたりで並んでいる冬/『去』

01/05 山茶花が赤白並んでいる校庭始業式までもう少し寝かせて/『庭』

01/06 少年はうつむき彼の靴を見るくちびる噛むのは隣にいるため/『ボーイズラブ

01/07 飴色のつげ櫛ひとつを形見とし祖母によく似た癖毛を梳かす/『櫛』

01/08 さよならのさの音を掻き消すように新春シャンソンショーの始まり/『S音』

01/09 為政者が隠し持っている剣に気付かずじまいの僕らの日常/『政』

01/10 手袋にあずけた両手が震えてる今日このごろの白菜の白さ/『自由詠』

01/11 点描で模様を書き足していく傘の名前を宇宙としましょう/『ウ冠』

01/12 一針と編み進めるたびこんがらがる柔い毛糸とあなたとわたし/『毛糸』

01/13 ばっかんとぽたぽた焼を割っていく母ちゃんの指先にもひびが/『ひび』

01/14 少年よ 勇気の鈴をりんりんと鳴らして進めよビルの林を/『林』

01/15 勢いよくカッターシャツに抱きついた指がぽろろんストライプ鳴らす/『 ストライプ 』

01/16 コンビニで100円セールだったから生きてる君に赤飯あげよう/『赤飯』

01/17 消しゴムを拾う彼女の背をめがけ角度のついた直球投げる/『角度』

01/18 盛装で写真を撮れば姉よりも姉らしく見える妹は妻/『 姉妹 』

01/19 太ももの点A及び点Bを最長距離で同時に撫でよ/『 及 』

01/20 蜘蛛の巣がどんなに燃えていようともチャイムは今日も定時を告げる/『 チャイム 』

01/21 泣く君のまつげのカールに魅せられた俺は骨まで溶かされていく/『 男は女性視点で/女は男性視点で 』

01/22 君の持つうすい瞼に触れさせて 無理なら紙で指先を切る/『瞼』

01/23 芽吹いてる桜の下で君を見た 春にはすべてが萌えていたのだ/『萌』

01/24 親指をすべらせ「うふふ」と打つときの関節のしわも微笑んでいる/『うふふ』

01/25 破られた手紙の半分握り締めああもうどこにも地図はなかった/『破』

01/26 懐かしい人の香りのシャンプーを見つけてしまった知りたくなかった/『香』

01/27 いくつもの人生が職員室にあるとも知らずに呼び出し無視する/『職員室』

01/28 不完全なものを愛して生きるならそのレールから飛び降りてみよ/『全』

01/29 Tシャツがお日さま色に染められるシーツもタオルも私も一緒に/『染』

01/30 手に提げた金魚のいのちも知らないでほほえむ君のくちびるも朱/『金魚』

01/31 たなびいた光のほうきが夕方の空を掃除していく隕石/『隕石』

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