さらさら録

日々のさらさらの記録

甥のいた日々のこと

年始早々に出産し実家へ里帰りしていた妹が、先日住む街へ帰った。1ヶ月半の間、新生児と一緒に暮らしていた。初日はこわごわと抱いていたし夜中に泣き声で眠れなくて内心謝りながら耳栓を買った。生活のすべてが甥を中心に回るので、昼間働いているわたしも帰宅後そのペースに振り回され、環境の変化に弱いこともあって精神的に崩れかけたりもした。
だけど、甥はそのつらさを上回るかわいい存在であった。お風呂に入れるとぶるぶると大げさに震える。「ふんげー」と泣いたらおっぱい、「ぎゃああああ」と泣いたらおむつ。「ふんげー」と泣く甥に対して、「ふんげーなぁ」と言ってあやす妹を見るのが好きだった。日に日に寝る時間が長くなり、泣き声にバリエーションが増え、ほっぺたもむちむちぷっくりとしていく様子をずっと見られたのは楽しかった。
甥と暮らしていて思ったのは、誰にでもこういう時期があったということ。誰だって、元は赤ちゃんだったのだ。だからどうということはないけど、生まれていきなり歩いて喋って食べて寝て、なんてことはなかったんだということを改めて思わされた。親しい友人が去年の夏に相次いで出産していたので赤ちゃんには触れていたのだけど、新生児と暮らすのは初めての体験だったから余計にそう思ったのかもしれない。そう思うと、少しだけ他の人のことが愛おしくなる気がした。気がしただけかもしれないけど。
春になったら、妹と甥の住む街へ行くのだ。

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