さらさら録

日々のさらさらの記録

人の振り見て

 去年の夏からとある当事者の集まりに出入りするようになり、そこでたくさんの人と会うことになった。そこで会った人たちとツイッターを交換し、たびたび顔を合わせるようになったのだが、『人の振り見て我が振り直せ』という言葉の意味を噛みしめている。
 わたしは途轍もなく卑屈な人間で自分に自信を持てないのだけど、あまりに卑屈なのは見ている方を傷つけるんだな、と気がついた。それと同時に、卑屈で自己卑下してしまうのは、どこかに「そんなことないよ」と言ってほしい気持ちがあるのだな、ということにも。でも、それって卑怯だ。だから、あまり自己卑下しなくなった。相変わらず自信はまるっきり持てないけど、だからと言って自分をこき下ろすことはない。そうして自分を責めなくなったことは、わたしの気持ちをいくらか楽にした。
 また、不用意な発言で人を傷つけてしまうことにも気がついた。「冗談だろ」の言葉で済ませることができるのは、言った方ではなく言われた方だ。言われた方が冗談に聞こえなかったら、それは冗談として成り立たないのだ。わたしは自分が面白くないという自覚があるので冗談を言うことはあまりないけど、冗談とわからず傷ついたり不快になったことはある。冗談とは別に、言わなくてもいい一言で傷ついたりもする。でも、わたしも不用意な発言で怒らせたことはあるのだ。不用意な発言自体は取り消せないけど、もしわたしの発言で不快になったり傷ついたら、「その発言はよくない」と教えてほしい。教えてほしいし、教えてもらえるような人間でありたい。
 わたしはそこに出入りするようになって、通常の友人とは違う関わり方をする人間を持つようになって本当によかったと思っている。友人たちとは違うタイプの人たちを見ることができ、そこから学ぶことは多かった。それと同時に、友人たちの有り難さを痛感している。よくこんなめんどくさい人間につき合ってくれているな、と。だからこそ、友人たちに何かを返せるような人間になりたい、と人の振りを見て痛感する。受け入れてもらうことを当たり前としないで、きちんとその優しさを返していきたい。

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