わたしは、あなたが大切だ。
※今日のエントリは自殺について書いているため、精神状態の悪い方は読まないようお願いします。だけど、周りにそのような状態の方がいる人には役立つかもしれません。
そんな状態だったので、わたしは頑なに友人の言葉を拒み、遠ざけようとしていた。何があっても悲しんだり苦しんだりしないように。わたしのスマホは指ロックがかけてあるし、LINEだってパスコードをかけてあるし、PCもパスをかけてあるので誰も破れない。連絡もないまま忘れられていけばそれでいいと思っていた。少しの希望を捨てられないまま。
ひどい状態になったのは主に仕事のことで、多くの人の言うことが食い違い何も信じられないどれが正しいのかわからないそんなの聞いてないという袋小路に追い込まれたのが直接的なきっかけだった。それまでも兆しはあったんだけど。
そんな中、友人たちは言った。「周りの人を悲しませて」「周りの人が悲しむ」と。だけどわたしは、“周りの人”という漠然とした存在を信じることができなかった。人を信じられない状況で、顔の見えない“周りの人”のために生きることなんてできない。そしてわたしは友人たちを突っ跳ねた。
10年くらい前、ACのキャンペーンで栗山千明が髪をなびかせながらこちらをじっと見て語り掛けるCMがあった。
命は大切だ。
命を大切に。
そんなこと、何千何万回言われるより
「あなたが大切だ」
誰かがそう言ってくれたら
それだけで生きていける。
わたしは、「自分はあなたがいなくなったら悲しい」と言って欲しかった。人を信じられなくなり、もとより自分のことなんか信じてなくて、だからこそ“周りの人”なんてぼんやりした人ではなく具体的な誰かを求めていた。それが希望であり期待であり求めていた救いだった。
すべては自分への自信のなさから起こっていて、わたしの勝手な期待でしかないので、友人たちに非はない。だからこそ、わたしは彼らを遠ざけようとしていたのだから。
自殺防止策の中に、「TALKの原則」というものがある。
- Tell はっきり言葉に出して「あなたのことを心配している」と伝える。
- Ask 死にたいと思っているかどうか、率直に尋ねる。
- Listen 相手の絶望的な気持ちを徹底的に傾聴する。絶望的な気持ちを一生懸命受け止めて聞き役に回る。
- Keep safety 危ないと思ったら、まず本人の安全を確保し周囲の人の協力を得て、適切な対処をする。
「あなたが大切だ。」という言葉は、この原則の中のTellに当たる部分なのだと、少し落ち着いてから気がついた。
昨日、突っ跳ねた友人と会った。突っ跳ねたにも関わらず、身を案じて的確な指示をくれたのだった。会うことになったのはたまたまという部分もあったけど、あれほどのことをして消耗させたにも関わらず心配してくれた友人には感謝してもし切れない。
わたしは自分に起きていることを話し、友人はそれを聞いていてくれた。時々、「君は悪くない」という趣旨の言葉を挟みながら。散々話した後、「たぶん、わたしは死にたくないんだと思う。ただ、それしかないと思ってしまった」と言った。「わたしに生きててほしい?」と聞いたら、「うん」というようなことを言ってくれた。
まだ、生きられる。そんな気がした。
友人との会話は、先に挙げたTALKの原則に沿うものであると書きながら気がついた。少し形は違うけれど。身を守るための最善策を指示し(Keep safety)、わたしに起きた話を聞き(Listen)、「本当は死にたくないんだと思う」という言葉を引き出し(Ask)、「生きていてほしい」と伝える(Tell)。
目の前の絶望的状況は変わってないし、体調不良も続いているけど、「生きてていいんだ、生きていたいんだ」という気持ちを確認することができた。それは義務感ではなく、もっとあたたかいものだった。
WHOの自殺報道ガイドラインは最近よく知られるようになったけど、それと同じようにこのTALKの原則が知られて欲しい、少なくとも追い詰められることは減るはず、そう実感した。
ここまでさらけ出して書く必要なんてないと思うかもしれない。だけどこのブログは自分の記録という部分が大きいので、このことも書いておこうと思った。
いつかまた、そういう気持ちになったとき、思い出して読めるように。