さらさら録

日々のさらさらの記録

夕立の隙間

 雨雲レーダーを見ると大雨が来るというので、それまでにぐるりと散歩をしてきた。ポケットには歩数計付きのスマホと、野球中継を聞くためのポケットラジオ。外に出たら、夏の切れ目のような空だった。
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 そのまま歩く。駐車場で、「がんばれーがんばれードラゴンズー」と燃えドラを歌いながら子供が父親とトスバッティングをしていた。今、試合中なんだけどなぁと思いながら歩く。少年の応援のおかげか、ビシエドが追加点となるタイムリーを放った。
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 夕立の方向を確認しながら歩く。あたりにほんのりと夕立のにおいが立ち込めてきた。夏は嫌いだけど、夕立は好きだ。小さな台風のようなわくわく感、一発でそれとわかる夕立のにおい、独特の生ぬるさを冷ます大粒の雨。歩いているうちに、夕立は降り始めた。雨に濡れるのは嫌いじゃない、むしろ好きだ。濡れても風邪を引かないところも夕立の好きなところだ。こうして、行く当てなくぷらぷらと歩いているときの夕立は気持ちいい。日光過敏症かつ体温調節があまり効かない体には、夏の外出は堪える。だけど、雨はそれらから守ってくれるのだ。
 わたしは雨に濡れることをあまり厭わない人間なのだけど、それは漫画『はみだしっ子』の中の台詞の影響なのかもしれない。

みんな雨から逃げてくよ…
雨は…
ボクなんかにもふれてくれて…
雨音まで聞かせてくれるのにね…

雨は…
こんなにも優しいのにね…
<PART3 『だから旗ふるの』より>

 雨は、誰にだって等しく降る。そんな気がする。だからわたしは、雨が嫌いじゃないのだ。そして、憂鬱な夏に差し込む夕立を、雨のひとつとして好むのだ。

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