カレー・カレー論争
名古屋で生まれ育っとるのもあるし親が結構歳いっとるもんで、他の同世代に比べてもわたしはかなり名古屋弁がきついんだわ。平成生まれの子に「おばあちゃんみたい」って言われるレベルでも全然直らん。名古屋の人は、そんなに方言きつくないと思っとるみたいだけど全然そんなことないでね。一応語尾なんかに気をつければ標準語に擬態できると思っとるけど、「服」や「靴」のアクセントでバレるでね。名古屋の人はふく・くつって言うけど逆だでね。
アクセントといえば、カレー・カレー論争ってのがわたしの周りであるんだわ。第一次カレー・カレー論争は東京に行ったときに東京生まれの友人とカレーもんじゃ食べたときに起きたんだけど、「ここにカレー固まっとるでほぐさなかんね」って言ったら「カレイなんていないじゃん」って言われたんだわ。そん時までカレーのルーのことカレーって言わんとカレーって言っとったんだわ。魚の鰈とおんなじ発音ね。カレーライスはカレーライスって言うんだけど、ルーだけのときやライスを言わんときはカレーになるんだわ。だいたい30年生きてきて、カレーが正しいって初めて知ったもんでびっくりした。
で、名古屋帰って当時の会社の人に話したのが第二次カレー・カレー論争なんだけど、名古屋市内出身者だけがカレーって言うんだわ。四国出身の先輩なんか、入社当時社食で「カレー」って言うのを聞いて、今日のメニューに鰈なんてないのにと思ったらカレーのことだったもんでびっくりしたって言っとったわ。
だけど、名古屋市内出身者でもちゃんと都会の人みたいにカレーって言う人はおるもんで、名古屋弁がきつい人の特徴なのかもしれん。ときんときんとかしゃびしゃびとか机をつるのとかごみをほかるのとかは自覚しとるけど、カレーは全然知らんかったわ。
と、ここまで名古屋弁で書いてみたけど、名古屋弁って細かいニュアンスや語尾の鼻濁音が特徴的だもんで、文字にするとどんどん印象が変わってくんだわ。語尾で「わ」をたくさん使っとるけど、正確に書くと「わァ」だでね。「名古屋弁ですわオホホホホ」みたいな女性言葉としてのわじゃないんだけど、書くとこれがあんまり伝われせん。関西弁のいいところは文字に起こしてもさほど印象が変わらんとこだと思っとるけど、名古屋弁は文章と実際の発音とでかなり変わるもんで難しいわ。
方言スピーカーの人が方言でブログ書くと、たぶんこういう壁にみんなぶつかっとるんじゃないかと思っとる。だって、どんどん自分が喋っとるのとも書いとるのとも違う文章になってっとるんだもん。だんだん普段の話し言葉がわからんくなるし、どんどん大袈裟になってっとる。エスカレートしてくのもおかしいんだけど、こうでもしんと伝わらんのがもどかしいわ。
あと、関西弁は萌える人が多くて羨ましいっていっつも思っとる。書きやすいし萌えられるとか羨ましい。名古屋弁は濁音多いし早口だし汚いもんで、方言萌えで挙げられとるの見たことないわ。このブログ読んだら納得すると思うんだけど。名古屋弁ってだけできっついで諦めとるけどさ。名古屋はブスの産地言われるけど、たぶん名古屋弁のせいもあると思っとるよ。
散々文句も言っとるし、書き言葉にしにくいジレンマはあるし、カレーは鰈と一緒だけど、それでも母語だで嫌いになれん。
それが、わたしの方言の名古屋弁なんだわ。
今週のお題「方言」