さらさら録

日々のさらさらの記録

短歌の目 第5回:7月 感想集+何か

「今月は」思えど書けずにいた感想今こそ綴れ無職の夏に

ということで、さらっと感想を書いていこうと思います。
全体的に思ったことは、「なんとノスタルジックな歌が多いんだろう」ということ。子供の頃から夏は嫌いなのですが、なんだか懐かしくて少し夏を愛おしく思ったのでした。
そしてみなさまのブログを読んでいるとスポンサードリンクが求人サイトで埋め尽くされる事案が発生しております。求職中のバナーも悲しき。tankanome.hateblo.jp

ー15.08.06追記
この枕は当時書いてたものですが、ずるずる約1ヶ月経ってしまいました…。せっかくなので、これもそのまま公開します。

感想集

1.たんたん短歌 短歌の目/7月 - 片鱗カフェ

4.白
白蓮のその白練の花弁ならとりこぼしなどしないだろうか

日本的な美しさ、日本語の美しさに満ちていてとても好きです。何を「とりこぼしはしないだろうか」提示されていないのがまたいいです。

2.短歌の目第5回で7月の短歌を詠みました。 - チャイ

8.アンタレス
 「アンタレス」と図鑑を見ていう君の音のしたったらずさに僕は恋した

アンタレスのタレス部分って確かに発音しづらいんですよね。そして、こういう舌っ足らずさがかわいく見えるってこともわかってるものです。

3.ト音はゲーでジーはガンマで ―【第5回】短歌の目― - 本の覚書

8. アンタレス
恒河沙(ごうがしゃ)の星の血を喰うアンタレス 指の記憶が問わず語りに

k_sampoさんは回を重ねるごとに勉強されどんどん上手になられるので、わたしの感想などもはや野暮なものかもしれませんが。
この歌は、アンタレスがはるか彼方にあると知らなければ詠めない歌だなぁと感服しました。「恒河沙」の響きもいい。

4はてな題詠「短歌の目」 7月 - 何かのヒント

2.花火

花火部は火を消しゴミを分別し金曜に出し終えるまでが花火です

花火部っていうナンセンスギャグっぽい言葉がいいです。体育祭の打ち上げで花火始めた人たちが花火部って自称して盛り上がってる感じ。

5.それとなく短歌 - マトリョーシカ的日常

1.手帳
 無意識に引かれた生命線をしめだすよう掴む手帳はあかい

読んではっとしました。手帳の日にちと日にちの間に引かれた線は生命線なのかもしれない、命の残りをカウントしているのかもしれないと。「あかい」と「生命線」のかかり方も好きです。

6.第5回「短歌の目」7月 手帳に閉じ込めたから大丈夫 - hyacinth

3.虫  幼虫の身のやわらかさこんなにも薄い世界の接点として

小さいころ、幼虫の薄皮が破れるのが楽しくて潰すことがありました。あんなにも薄いけど、世界に接しながら己を守っていたのに。残酷なことをしました。
こんなにも薄いけど、確実に世界と接している。その切り取り方が美しいと思いました。

7.短歌の目 第5回に参加してみる - ゆれるスカート

4.白

白い服 選びがちなの昨今は 嘘をつくこと 大人になること

背伸びした少女の白さが眩しいです。白い服を汚さずに着こなせるのが大人だと思っていました。白い服を着てるから、すべてが白だと限らない。どきっとしました。

8.はてな題詠「短歌の目」 第5回7月:初参加 - なめこの言い分2

6.プール

底のないウツのプールに飛び込んで 重たい水に閉じ込められる

メンタルがヘラっている身としては、「ああそういう感じだ」と呟いてしまいました。重たく冷たく透明な水がずしりと上にのしかかって身動きが取れなくなる状態。この歌はどこか軽やかで、浮上できそうな気がしました。

9.第5回「短歌の目」7月/夏の夜 - やっぱりときどき休みます

4.白

白夜という夜あるらしき
地球儀の傾(かし)ぐ角度に首かしげたり

声に出して読みたい短歌です。若干早口言葉っぽいですが、この音と意味が連動してかかっている感じが大好きです。わかりやすいようで、なかなか高度な歌だと思いました。

10.「短歌の目」第5回 7月 /初めての題詠 - みかづきいろ(仮)

2.花火

火の花に水をやったらしおれます ヂッと音たて闇にしみます

これは完全に手持ち花火です。庭先でやるあれです。「ヂッ」という表記と「ます」という言葉がなんだか夏休みの絵日記のようで目に浮かびます。

11.【第5回】7月短歌に参加します - 感情迷子中のあんずです。

5.アイス
ねっとりと垂れたアイスに
蟻たかる すべて溶けるる熟れた熱気

えろいです。文字通り読んだら、炎天下で食べていたアイスが垂れそこに蟻が群がってきたのでしょうが、汗ばんで服が透けた女性に向けられる眼差しが「蟻」なのではないか、と思いました。熟れた熱気というところが大人です。

12.ただよう(短歌の目 第5回) - たまには文章を書かせてください

4.白

ああわかるあいつって漂白剤を飲んで育った感じの人だね

あーそうそういるよねそういう人ってさ案外どこにもいるもんなんだね と思わず返してしまいました。やられた、と思いました。比喩も会話文も絶妙です。

13.短歌の目 第5回:7月 消えゆく人魚も恋も はら はら - さらさら録
さらさら録の人の分は後で書きます。

14.企画にのって短歌を詠んでみたよ6 - 今日の良かったこと]

6.プール
梅雨空を 眺めてため息 片手には 今日も使えぬ プールバッグを

「プールバッグ」という言葉がぐっと引き締めています。これが「水泳帽子」だったらたぶんこんなにも情景が浮かばないでしょう。描かれてない表情が見えるようです。

15.7月のお題。短歌絞り出し! - まわりみち(仮)

1. 手帳

手帳に記されてるの先のこと
予言のごとく大人を縛る

「願いが叶う手帳」ってありましたよね。未来のことを現実をそれに近づける、みたいな。引寄せの法則でしたっけ。あれの真逆を言ってて面白いと思いました。うんと先のミーティングを中心に据えてスケジューリングしていると、「これが大人というものなのか」と思ったりします。

16.【7月】短歌の目 第5回 雪のように白いプリンと冷たいトマト - 言葉を咀嚼する虫

10.ぬばたまの
ぬばたまの髪梳けば星きらきらとキューティクルの星があふれる

今回すごく好きな歌ばかりでした。お風呂上がりに乾かした黒髪を梳かしたときのつややかさを「キューティクルの星」と表したのがとてもきれいです。勝手にお風呂上がりと書きましたが、「ぬばたまの」という枕詞と星から勝手に連想しました。あと、自分のお風呂上がりの髪が好きなのもあって。

17.はてな題詠「短歌の目」 第5回 7月のお題 - 漢前女子と言われ続けたい。

9. 雷

空走る雷光ぴかり 胸打たれ 今すぐ走り出したくなる初夏
 
高校時代の帰り道を思い出しました。「ヤバい、雨降ってくる!急がなきゃ!」という気持ちと、なんだかわからないけど走りたくなる気持ちが混ざったあの感情がわたしの胸も打ちました。

18.第5回短歌の目7月 - このこつちのこ、虚構の子

7.すず

遠回り 見つけたほおずき熱されて すずみたいです 君は敬語で

川上弘美の『センセイの鞄』を真っ先に思い出して、それにまつわる個人的な想いが混ざってぎゅっとなりました。ああ、でもこれ「君」が大学生の男の子で自分がそれより年上だったらまた違う感じ方になりますね。君との関係性をいくらでも妄想できて好きです。

19.短歌にちょうせん七月号 - 意味をあたえる

10.ぬばたまの

ぬばたまの夜通し聞こえるチェンソーの刃こぼれ気になる十五の夏

ホラー感というより中二病っぽさを感じました。妄想の中でぶっ放してるチェンソーの音が時々乱れてるんだろうな、と。チェンソーというアイテムが絶妙に中二心をくすぐります。

20.
アリスすず姉妹とぬばたまの夜空にアイス片手に花火を観る 短歌の目第5回7月作品一覧 - のほほん気紛れ詩歌い

4.白

出来た時白いブログも月日経て
夕立後の七色装備

下の句の虹の表現の仕方がいいな、と思いました。ブログって、書かれたことだけでなく読んでくれた人によってもまた彩られていきますもんね。

21.第5回7月「短歌の目」 虫ケラ以下だ - 世界は今日も簡単そうに回る

7.すず
のーせんきゅー いえすずぁっつらい はぁ辛い 行きつ戻りつ旅は続いてく

「すず」をそう詠みましたか!という感想が真っ先に来ました。「旅」は人生の暗喩のような気がしました。「ずあっつらい はぁ辛い」の韻の踏み方が好きです。

22.はてな題詠「短歌の目」第5回7月 - 学校というコンクリートの塊にいれられて

5.アイス

銀皿とチェリーの赤が眩しくて 半球バニラのアイスクリーム

百貨店のパーラーというか喫茶室というか、そういうところを思い出しました。きっとウェハースが添えられているに違いない。銀皿に盛られていると、とってもきらきらと高級な食べ物に見えたものです。

23.はてな題詠み「短歌の目」 7月のお題 「明日からはきっと良くなる気がしてる」 - ライティング・ハイ

10.【枕詞】 ぬばたまの
雨だけど歩いて帰る ぬばたまの夜にまかれて いつもひとりで

結句の「いつもひとりで」で、すーんとした寂しさを感じました。ああ、雨の日の寂しさだ。雨「だから」歩いて帰るのではなく、雨「だけど」歩いて帰るのがなんだか新鮮でした。夜の雨は、心細くも優しい。

24.はてな題詠「短歌の目」7月 ~アイスが溶けてココロも溶けた - バンビのあくび

4.白

よういどん 熱気を帯びたアスファルト 蹴って駆けだす白いスニーカー

この時期に歩いていると、鉄板のように熱を持ったアスファルトに靴底が張り付くような気がします。スニーカーのゴム底を溶かしてアスファルトに張り付く前に潔く駆け出す様子が眩しいです。洗いたての白いスニーカーはとても眩しい。すぐ汚れるし、洗うのも大変だけど。

25.「短歌の目」7月 投稿します - 乳飲子を小脇に抱えて

2.花火
ローソクの灯りを消してぼくの持つ花火のいのちをきみにうつして

どこか漂う退廃的で刹那的な空気が夏の夜に似合います。手持ち花火から手持ち花火へと火を移していくこと自体はよくやりましたが、それを「いのち」とするだけで刹那的になっていて好きです。しかもローソクの灯りは既に消えていて、手に残るのが最後のいのち。

26.下手の横好きーはてな題詠「短歌の目」7月に初参加 - harasanpo

6.プール

カビ取りをした日の風呂場はほんのりと幼き頃のプールの記憶

水泳を習っていたせいか、塩素の匂いが割と好きです。そのためにまな板や湯呑や水筒をハイターで漂白してしまうくらい。台所よりお風呂場のほうが、プールの記憶に似合うなぁ、と気付かされました。今度塩素系洗剤でカビ取りしよう。

27.第5回「短歌の目」 ななな、七月 - 六月に雨が

9. 雷

雷鳴は 文月に鳴れ ファンファーレ トマトを染める 祝典序曲

勇ましくて凛々しい。染められるトマトは庭に植えられているのでしょう、雨に打たれいっそう瑞々しくまるまるとしていく様子が浮かびます。雷鳴が祝典序曲のように告げる7月の訪れが目と耳に鮮やかです。8月になってしまいましたが。

28.はてなの題詠「短歌の目」7月 - 妄想七号線

2.花火
毎日を戦って死ぬくらいなら 花火を上げよロケット投げよ

syrup16gの『実弾』を思い出しました。Krankeツアーにはなかったですが。「上げよ」「投げよ」の韻の踏み方が背中を押してくれるような力強さがあります。日々を消耗するくらいなら、ひとつやってやろうという気持ちになりました。

29.はてな題詠「短歌の目」第5回 7月 - 緋綸子の雑記帳

4.白

先生の白衣に透けたTシャツのロゴ読む私の心臓の音

「先生」をどう読むかだと思うのですが、わたしは主治医だと思ったのです。聴診器で心臓の音を聞かれるときに、ばくばく鳴る胸に気づかれてしまうのではないかと。読んでる自分の心臓もばくばく音を立ててきました。

30.白紙の手帳に千の思い出 - 短歌の目第5回7月のお題 - このはなブログ

9. 雷

雷鳴が荒ぶ波音かき消して 車内に響く真夏の果実

うまくサザンの『真夏の果実』を使っているなぁ、と思いました。「砂に書いた名前消して」というフレーズからのオマージュが、雷鳴をバックに鳴るカーステを生かしてて終わりのようなせつなさがあります。

31.短歌を詠んでみる ーはてな 題詠「短歌の目」7月ー - 歌うおかあさん

4.白

かの人を包み眠らす白い花わたしはどんな話をしよう

とても意味深です。たぶん「かの人」は永遠の眠りについているのでしょうが、「かの人」と「わたし」はどのような関係だったのか。誰に話をするのか。受け取り方ひとつで、幼くピュアなようにも大人の背徳感をはらんだ歌にも読めます。

32.短歌の目第5回に参加してみます。まるっきりの初心者ですが。 - ちょっとナオ帳

6.プール

行きません 誘わないでよ プールにね 3キロ痩せても 水着なぞNON

どれだけ行きたくないんだと苦笑しつつも、最後の「NON」をかわいいなぁと思ってしまったのでした。痩せようが何しようが、水着になるのが嫌な人もいるものです。

33.夏の思い出~「短歌の目」~ - DAILY OKAPPA

10.【枕詞】
ぬばたまのツヤ髪疎む10代は傲慢なれど脆く愛おし

10代の頃の傲慢さと脆さも、髪のツヤとともにいつの間にかなくしていたんだなぁ…とふと思いました。その分得たものもあるはずなのですが。10代特有の傲慢さと脆さも、疎ましくあり愛おしい。優しい眼差しの歌です。

34.アイスの味はおんなじなんだよ~短歌の目・7月の巻~ - 泡沫サティスファクション

7.すず
ばあちゃんにもらったすずがダサいから引き出しにしまう もうそれっきり

おばあちゃんの鈴好きは異常。「ダサいから」という少年らしい感情と、「もうそれっきり」で最後突き放す感じに、古傷がうずくような切ない痛みを思い出すのです。

35.はてな題詠「短歌の目」七月 ~ ぬばたまのブラックバタフライ - イグアナガール

5.アイス

七色のアイスを交互に舐め合って 並木道通り 無言で歩く

アイスを交互に舐め合うのに、無言で歩く仲。いろいろと考えてしまいます。ひとりじゃ食べきれないから半分こしよう、暑くて溶けちゃうから早く食べないと、なんて言って買ったはいいけどその後が続かなくて…なんて。冬にはコートのポケットで手を繋いで無言で歩いてるといいなぁ。

36.7月 短歌題目参加 - きょうこのごころ

4.白
どうやって生きればいいか分からない
余白に見えぬ独り言書く

ぽろりと落ちたため息が余白に独り言を書いたような気がしました。転職活動中で履歴書を書いていると時々こういうことが起こるので、とても身にしみました。「見えぬ独り言」の密やかさが、押し殺した感情のようです。

37.みそひともじのいっぽ(「短歌の目」第5回) - Qの箱庭

6.プール
この俺は プールサイドじゃ収まらない 俺はセンター お前はレフト

運動神経抜群なのに水泳だけできない子がいたなぁ、と思い出したのが最初です。俺は水泳なんかより野球がいいんだよ!みたいなイメージです。レフトに追いやられた「お前」はたぶん、『七草のすずなすずしろ言えなくて五草になってた鈴木』です。

38.はてな題詠「短歌の目」第5回7月のお題に参加してみた - M氏はホメて欲しいだけ

8.アンタレス

 アンタレス アナタがいない アンタレス 蠍座の人 あぁアンタレス

アンタレスと「あんたless」をかけた歌が多かったのですが、この力技には笑いました。「蠍座の人」以外は全部「あ」から始まっているのがリズム感と引っ掛かりを生んでいて面白かったです。

39.はてな題詠「短歌の目」 7月のお題 - 有限な時間の果てに

6. プール
極楽だ 浮いてるだけの 流れるプール 頭は空っぽ ただ浮くだけ

普段意識してもあまり頭を空っぽにすることってできないんですが、不思議とプールにたゆたっているときだけは空っぽになったりするんですよね。水音と自分の呼吸の音だけ聞いていると、自分も水になって透けていく感じがします。

(40.)はてな題詠「短歌の目」、7月〜光も乱射するプール - きまやのきまま屋

3.虫

我先に手を伸ばすから 逃げられる 虫取り網さえ 持たず生きてく

上手に生きられない人を鮮やかに映し出しているな、と思いました。後先考えずに手を伸ばしてなくして、何度も繰り返して、なのに予防線を張ることもなく。持たず生きてく人を愛おしいと思います、わたしは。

何か(お題について)

今回、わたしが出したお題で採用されたものは
・すず
・アンタレス
この2つでした。
「すず」については、前回の「しそ」同様、いろんな読み込み方をしてくださいという意図を持って出しました。
そして今回「誰だよこんなお題出したのは!」と思われていそうなアンタレスですが、これは自分が蠍座でちょうど夏の星座なので出してみようと思ったのでした。アンタレスはいろんな解釈をされていて読んでてとてもおもしろかったです。ありがとうございます。

https://instagram.com/p/rZfiZfGDrd/

ということで、1ヶ月遅れの感想でした。



tankanome.hateblo.jp

(c)2015 nagisarasa All Rights Reserved.