さらさら録

日々のさらさらの記録

あざとく賢いカラスのこと

あまりにも文章が書けない。通勤中はぼんやりと外を眺め、仕事から帰るとスマホ片手に野球中継をつけたテレビの向こうで突っ伏す日々。さすがにこれはまずい、メンタルがやられて感性が一時的に干からびるのは仕方ないとしても、それがもう一月になろうとしているのにただ寒暖差と気圧差を恨みながらぼんやり見過ごすわけにはいかない。茨木のり子だって『自分の感受性くらい』と言ったのだから。
ということで、以前試みた文章スケッチのような試みとして、日々雑記を綴っていこうと思う。その日にあったことを、雑でもいいので、書けるだけ書く。
ブログや文章を書くことに対する気負いを外す意味でも。

☆ * ☆ * ☆

会社の近くにはカラスが多くて、そのうち1羽くらい友達になれるんじゃないかと毎日思っている。だいたい片思いに終わるんだけど。

今日、1羽のカラスが朽ちた葉の積もった中から目ざとくミミズを見つけて嘴で捕らえた。白くて、ふやけたうどんのようなミミズだった。ミミズなんていたのか、気づかなかったぞ、そんなミミズ見たことないぞと呟くわたしをよそに、カラスは頭を下げてふやけたうどんのようなミミズを垂らした。

何をするんだろうと思っていたら、カラスはおもむろにミミズを片足で踏んづけて嘴で引っ張って伸ばし、ぶちりと切って咀嚼したのだ。わたしは今まで、カラスは立派な嘴で餌をまるっと飲み込むとなんとなく思っていたし、ふやけたうどんのようなミミズがあんなにもゴムひものようにむにーっと伸びることも知らなかった。

目を丸くしたわたしの目の前で、なおもカラスはミミズを引きちぎって咀嚼する。もしかして、子ガラスに与えるためにちぎって咀嚼していたのかもしれない。そう思うと、あのカラスは賢い上にあざとい。ずるい。

わたしは動物に対して「あざとい」と言いがちなのだが、会社の友人たちはそれを聞くたびに笑っている。

☆ * ☆ * ☆

朝のバスの中で、雨に濡れた床の鉄板を踏んだ拍子に滑って足の親指をしたたかにぶつけた。その瞬間は絶対骨折れたし爪剥がれたと思ったほどの衝撃だった。わたしは骨密度敵には問題ない割に時々ヒビが入る自分の骨をあまり信用していない。

会社に着いて恐る恐るレインブーツから足を引き抜いて爪先を見たけど、爪先強化ストッキングに隠されていて見えなかった。とりあえず流血はしていないし通勤途上災害にもならなさそうだ。
依然痛いけど、たぶん青あざ程度だろう。たぶん。そう信じたい。
名古屋では青あざのことを「あおぢ」と言います。

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