さらさら録

日々のさらさらの記録

短歌の目 第0回:2月 感想ノック

タイトルの通りです。
『短歌の目』開催期間中に気に入った歌に引用スターをつけて回っておりましたが、その中からひとり1首選んで思ったことを書いていきます。創作する上で何らかのフィードバックがあると個人的にとってもうれしいしモチベーションにもつながるので、自分からもそういうことを積極的にやっていこうと思う2015年です。
わたし自身の感想の練習でもあるので「感想ノック」と名づけました。
みなさまからぱかんぱかんと打たれた短歌を捕って返していきます。

ところで、全員一気に振り返っていますので長いです。とっても長いです。自分の感想が読みたいんじゃあ!という方は、エントリーナンバーを参考にされるかCtrl+Fでブログタイトルを検索してくださいませ。

☆ * ☆ * ☆


1. 今月のお題 - はてな題詠「短歌の目」 - 日々我れ

2.チョコ

チョキかパーだけしかださない君が好き スカート揺れて「チヨコレイト」

グリコ、チヨコレイト、パイナップルで階段を上り降りするあの遊びがぱっと目に浮かびます。「君が好き」というシンプルな言葉がリリカルな下の句をぐっと引き立てています。いまださんの言語感覚とても好きです。ブログのサイドバーとかも。あと、アイコンがかわいいです。


2. はてな題詠「短歌の目」もう、2月 - 本日の手紙 大学生の今日の出来事

10. 卒業

校長の 頭頂光る 春の日に 僕は卒業 無慈悲な陽光

韻の踏み方がセンチメンタルな感じを呼び起こします。「無慈悲な陽光」は校長の頭頂を光らせるだけでなく、卒業する僕にも降り注いでるんですよね。物思いに耽ることもできず悲しみも涙も無慈悲に明るく照らされてしまう寂しさ切なさを感じました。


3. 第0回「短歌の目」2月のお題 - ライティング・ハイ

4.あなた
ぼくは多分あなたじゃないしキミじゃない オレでもなけりゃワタシでもない

一人称と二人称が乱舞しています。「ぼく」と「あなた」がひらがななのに対して「キミ」「オレ」「ワタシ」がカタカナというところがいいです。カタカナになると独特の無機質感が漂って「ない」を引き立たせます。


4. 短歌にちょうせん - 意味をあたえる

10.卒業
1から9という並びが野球に見えてだからこの歌は補欠

いきなり破調の歌がたくさん並んで「お、おう、自由だ」と思いました。この歌を選んだのは野球クラスタだからです。ほらパ・リーグならDHがあるから…。背番号に見立てる着眼点がとてもユニークで好きです。全体に漂う着眼点のユニークさを、次は定型にはめて詠んでみてほしいです。


5. ingress短歌 - マトリョーシカ的日常

4.あなた
 すれ違う あなたもきっと エージェント 落としたキーの 跡形もなく

すれ違う人に想いを馳せる歌が好きなのですが、下の句がIngressをやってない人にも響きます。ちなみにわたしはIngressをぶん投げました。題詠+縛りだと着想の範囲を絞れるので読みやすいかもしれません。わたしも誰かとすれ違えるかな、とIngressを久々に起動したくなりました。


6. はてな題詠「短歌の目」 2月の巻 - 無要の葉

10.卒業

 陽だまりの黒板に浮く「ありがとうもう少しだけもう少しだけ」

リフレインを効果的に使えるようになりたい、と強く思わされました。ありがとうからリフレインに繋がることで切なさが濃く滲みます。陽だまりの黒板もノスタルジック。確かに黒板はいつも陽だまりの中にあったなぁ…学校の窓っていつも南向きでした。


7. はてな題詠「短歌の目」 - OK 余裕

1.白

白下げて赤だけずっと上げていろ 続きはねぇよてか知らねぇし

口語の乱暴さがとてもいいです。パンクロックのような手触り。倦んだ青年の頭の中を見た気分です。自分で命令しておいて「てか知らねぇし」とばっさり切り捨てるのは痛快。ao-ruiさんの作品は短歌も小説も、口語をうまく活字にして世界観を作っていて面白いです。


8. 短歌に挑戦するぞい♪ - 枯れないように

9.おでん

おでんのね 出汁を沸騰 させたらね 小姑沸くから 気をつけようね

初句・三句・結句が「ね」で終わることでリズム感が出ています。それと同時に、ものすごく念押しされているような薄気味悪さがあって好きです。沸騰と沸くも好きですが、小姑というチョイスがいい。姑だと出ない情念のようなものがあります。


9. はてな題詠『短歌の目』 第0回:2月 - さらさら録

4.あなた 

 たわむれに呼んでみたの「ねえ、あなた」もうわたしたち戻れないよね

拙作。短歌を自分として詠むか自分ではない誰かとして詠むか、という詠み方をするのですが、これは三十一文字だけ誰かになってみました。道ならぬ恋も危険な恋もしそびれた人生を送っていますが、、少しだけ憧れてしまういけない恋に落ちた人の目線を覗き見られるのは楽しいです。


10. はてな題詠「短歌の目」に参加しまっせ - ネットの海の渚にて

6.瓜

飲み過ぎて乗り越した先は喜連瓜破 そこは大阪谷町線

喜連瓜破はよく難読駅名で出てきますよね。声に出して読みたい駅名を持ってきたことでリズム感があります。思わず大阪の地下鉄路線図を見てしまいました。東梅田から乗って阿倍野近鉄に乗り換えなきゃいけないのに寝過ごしちゃった妄想をしました。固有名詞は具体的な想像を呼びますね。


11. 10年前の秋に詩を書き始めたから今回参加できる「第0回」はてな題詠「短歌の目」参加作品(集) - のほほん気紛れ詩歌い

4.あなた

下の名で 彼女に言われ 時を経て
「あなた」を越えて 「パパ」と言われる

家族の間柄になればなるほど、名前を失い属性で呼ばれるようになるんですよね。名前を失ったことで家族を得たのだと思うと、幸せの裏の悲しみが見えます。下の名で呼ばれる前、つまりつき合う前は苗字で呼ばれてたんだろうな、と思いました。


12. 第0回「短歌の目」 2月のお題10首 - 漢前女子と言われ続けたい。

1.白

 まっしろに けぶる風景 雪の先 あなたの故郷 未来のわたし

緑茶iさんには創作へのフィードバックの大切さを改めて教えていただきました。ありがとうございます。
彼の故郷の雪景色の先に、夫婦になる未来を見るロマンティックさ。まっしろにけぶるからこそ、見えてくるものもあるんですよね。なぜか、実際に行ったのではなく映像であなたの故郷を見ている気がしました。いつかあなたの故郷へ行ってみたいと思いながら。



13. はてな題詠「短歌の目」に参加してみる - Letter from Kyoto

8.夜

あの人も深夜一人で歩いてる。知らない人を仲間と思う。

最近夜の散歩に行けてないのですが、夜(しかも夜中)に外を歩くのってなんだかわくわくして好きです。独特の高揚感というか。同じように夜中に歩いてる人も同じ感覚を持つ仲間なのかもしれません。川添さんの言葉の選び方と句点が好きです。


14. はてな題詠「短歌の目」 2月♡ - バンビのあくび

5.板

キミが消え心の傷を癒すよに まな板のキズ優しくなでる

えこさんって、どこを切ってもえこさんの存在を感じられるものを書かれるので、文体も人としての軸もぶれぶれなわたしからは憧れです。
直感的に、息子が進学で家を離れた後の母の歌と読みました。今まで彼のための食事を作るために刻んできたキズ。生活の実感がこもります。これはプラスチック製のまな板じゃなくて、丁寧に手入れしながら使ってきた木のまな板です。絶対。


15. はてな題詠「短歌の目」 2月のお題に参加します - こじらせ女子のつまらない出来事

10.卒業

 胸を裂く 泣き顔を背に 歩き出す 諦めたのは 私のほうよ

最初、ふられた側の歌だと読んでましたが、逆も成り立つと気づいて呆然としています。諦めて別れを切り出したとも、泣いて別れを告げる相手を諦めたとも、「諦めたのは私のほうよ」の解釈で変わるのが面白く切ないです。前向きな気持ちではなく諦めが足を進めるのも切ない。好きです。



16. 短歌の企画に乗って、10首詠んでみました - きまやのきまま屋

5.板
こたつ板 ここに座るから毛布ひけ、と言うは毛布よりモフモフけもの

きまやさんの愛猫への想いが溢れています。この歌を選んだのは「モフモフけもの」という言葉が気に入ったからです。毛布よりモフモフけもの、思わず口に出してしまいます。モフモフけものに言われるがままに毛布敷いて一緒に寝っ転がってうたた寝したくなります。


17. 2月のお題 はてな題詠「短歌の目」 - 六月に雨が

7.外

この星の 外に出たならその外の また外は何 問う子眠らず

この「子」は純粋に子供なのか、それとも己の内なる子なのか。眠れないときって、やたらと宇宙の妄想をしたりするのですが、逆に考えて目が覚めてしまったりします。外の外の外、と3回繰り返すことで壮大な視点に立ち、そこから結句につなげることで鮮やかに視点が切り替わっています。


18. はてな題詠「短歌の目」2月題を詠む - nerumae

3.雪

粉雪という力士が土俵にあがるまで俺はぜったい月には行かない

卯野さんはどこで短歌を学ばれたのでしょう…文語が無理なく使われていることに感服。
この歌は元ネタのツイートも見ていたので、「あああれかぁ!」と思ったのですが、下の句の「俺はぜったい月には行かない」がいいです。実現の可能性が不確かな2つのことを並べてるのですが、そこで「月」を持ってくることでこなあああああゆきいいいいいいが大気圏突破しちゃってます。


19. 企画にのって短歌を詠んでみたよ - 今日の良かったこと

3.雪
寒い朝 「雪降ってる?」と 窓を開け
庭に駆け出し 足跡つける

わー、小さいころこれやった!むしろ未だにやってしまう!と懐かしい気持ちになります。たぶん、お子さんがこうして外に足跡をつけに外に出るんだろうな、そしてズボンの裾をびしょびしょにしちゃうんだろな、なんて光景が浮かびます。
りょうさんの歌はお子さんへの愛情に溢れていて優しいのですが、ネガティブな匂い*1を加えるとぐっと歌に引っ掛かりができていいものになるのではないでしょうか。


20. 短歌よむよ〜 - このはなブログ

8.夜

膝を折り 夜行バスに身を詰めて あたしのもとに朝(あした)は来るの

「朝」を「あした」と読ませているのがうまいです。「あたし」とかかっているだけでなく、夜行バスという乗り物にぴったりです。「あたし」は夜行バスに乗って「行く」のに、「朝(あした」は「来る」という真逆の表現が活きていて好きです。
個人的に、夜行バスの旅はそれはそれで旅情があって好きです。


21. はてな題詠「短歌の目」 - 冬色の脈

7.外
 この外道 人の風上にも置けぬ いますぐ雪見だいふく放せ

とても好きな短歌を詠まれる方です。どこかシニカルなユーモアのある歌の中で異色を放つ雪見だいふく。これがハーゲンダッツでもチョコモナカジャンボでも成立しないんですよね。雪見だいふくの白いもちもちが、上の句の殺伐さを納得させてくれます。雪見だいふくならしゃーない、と。


22. 2月のお題 - はてな題詠「短歌の目」 - 本の覚書

5.板

板チョコをむさぼる夜勤の同僚の釦はじける日をじっと待つ

エロティックです。勝手にシチュエーションを限定して読んでしまったのですが、女性看護師が夜勤中板チョコをむさぼりながら記録をまとめている。それを見ている男性看護師は…と妄想して「エロいっ」となりました。ほのかなエロスがチョコの匂いと一緒に立ってきます。


23. はてな題詠「短歌の目」第0回 - この国では犬がコードを書いています

3.雪

雪は死ぬ 生きとし生けるものすべてつつんで凍えさせてから死ぬ

「雪は死ぬ」と言い切る初句切れのインパクトの強さに引き込まれます。そして、雪は単体で死ぬのではなくすべてつつんで死ぬ。絶対零度の歌なのに、凛と言い切る強さを「すべてつつんで」のひらがなが中和していて、不思議と明かりが灯ったような感覚に陥ります。雪の冷たさ明るさが活きていて好きです。


24. はてな題詠「短歌の目」 2月のお題 - 有限な時間の果てに

4. あなた

離れない あなたのことが 頭から なれるだろうか あなたのあなた

「あなたのあなた」という言い回しが面白いです。あなたからあなたと呼ばれる存在、と一瞬立ち止まってしまう感じです。その結句が面白いだけに、他の句がありがちな言い回しに終始してしまっているのが残念です。もっとよく改作できそうな気がします。


25. 短歌を詠んだよ - 狭筵

5.板
板からはもうたどれないつくられるまえの樹としていきてたかたち

樺太千島交換条約というidから想像もできない豊かな世界が広がっていました。一枚板のテーブルを見るたびに元の木がどれほどだったのか想像できないのですが、確かに樹として生きていたんですよね。そう思うと、かまぼこ板も愛しくなります。「お前も生きてたんだよね」と。


26.
はてな題詠「短歌の目」-短歌とかけまして、英語学習とときます、 - えいごきらい。

3.雪
雪ふれば 高速渋滞 電車遅延 ラジオは急に 映画の話題へ

「高速渋滞 電車遅延」、声に出して読みたいフレーズです。何なら雪の日あるあるラップ的なものに使えそうにキャッチーです。ラジオと連動するように歌も急に方向転換しているのがユニークです。雪でも外せないプログラムと、雪でも休めない会社と。
ところでへいちゅーさん、アイコンがへる氏ーなんですが、もしかしてsyrup16gお好きですか…?あの、わたしsyrup大好きです。


27. 短歌の目 2月題 - 妄想七号線

8.夜
Web上の秘密結社に集う為 言葉を研いで削ぎ落とす夜

歌人の組織は実際に結社と呼ぶんですよね。でもここはWeb上の秘密結社なんです。みんなひっそり夜に言葉を磨いて集うわけです。秘密結社と夜の組み合わせが勇ましいです。「研いで削ぎ落とす」が勇ましさに静かな美しさを添えています。
ところで稲沢さんはブログタイトルからしてフジファブリックがお好きなんですね。武道館にも行かれたそうで…泣く泣く諦めただけにうらやましいです。フジもバクホンも好きです。好きなミュージシャンの影響って出ちゃうものなんですね(己を省みつつ)。


28. 短歌詠ませてください(短歌の目 第0回) - たまには文章を書かせてください

8.夜:

こっそりとカップラーメンから出づる湯気よ ひとりの夜を救えよ

クリニックに行くとダ・ヴィンチが置いてあるので、必ず『短歌ください』は読んでいます。「湯気よ」「救えよ」と語尾を揃えたところにひとりの夜の切実で密やかな孤独感がにじみ出ています。カップラーメンの蓋の隙間からわずかに漏れ出る湯気は何だか親しい気がします。


29. 短歌か狂歌かよくわからないままに - artessaのブログ

7.外

外街道 走りて去るは 物の怪の 影ばかりなる 限界集落

「物の怪の影ばかりなる」が結句の「限界集落」の印書を強くしています。あまり限界集落を意識しない生活をしているのですが、目の前に限界集落の様子がありありと浮かんできました。物の怪、朽ちた家、荒れた田畑。そうしたものをぐっと想起させてくれます。


30. タンカースナイパー - むっつりスケベ

2.チョコ
10代はチョコに困ったことがない ロッテ陳列パートの母

上の句で「このリア充め」と思わせておいて下の句でズコーとなるのと同時に哀しさを覚えました。母からチョコをもらっていることではなくて、ロッテ陳列パートの母が。これもきっと、「明治陳列パート」や「森永陳列パート」じゃなくて「ロッテ」だからこそ生まれるものがあります。
とてもユニークでもっと読みたいと思いました。あと、今の会社は高専出身者が多いですが、学卒院卒高卒より結婚率が低い気がします…でも彼女いる人も彼女いた人もいるので大丈夫ですきっと。


31. はてな題詠 「短歌の目」第0回 - 30歳、70kg

5.板
まな板と自称し照れる友の顔 我が胸の肉に炎燃えたり

同じくでぶなので頷きながら読んだのですが、中でもこれはあるあるでした。胸なくても細いからいいじゃん!胸あると余計でぶって見えるし服も限られるし肩こりひどいしくそっくそってなります。炎が燃えるのが胸の内ではなく胸の肉というところがユーモラスです。


32. 【短歌の目】恥の十首【駄作】 - 燃えないごみが燃える日

5.板
文化祭板垣演説コントした 今も昔も僕は客B

板垣演説コントとは何ぞやと思っているうちに下の句にくすりと笑い、そして今も昔も何者にもなれないところで真顔になります。「客A」でも「客D」でもない、「客B」。あれ、何者でもないなんてことない。客Bには客Bの人生があるじゃないか!と言いながら一緒に板垣退助に紙くず投げつけたいです。
自分の体験からしか引っ張ってこれないから創作のセンスがないなんて思わないですよー。自分の体験をほどいてそこからエッセンスを抽出して言葉に再構築することも立派な創作ですから。


33. はてな題詠「短歌の目」 第0回 で短歌に挑戦してみる - イグアナガール

7. 外
思春期に読んだ漫画で憧れた外国情緒は戦火の下に

漫画…『天は赤い川のほとり』でしょうか。いや、漫画を当てる企画ではないですね。デリケートな時事ネタを扱いながらも、決して激しく糾弾することなく淡々と詠んでいる分哀しみややり切れなさが胸に迫ります。憧れた外国情緒も戦火の下で破壊されてしまう、それはとてつもなく哀しいことです。


34. 2月の短歌を詠みました。 - チャイ

7.外
 外灯の明かりだけだとさみしくて連絡帳から君の名探す

「さみしくて」が2つの意味にかかっています。文字通り外灯の明かりだけだと心細いのと、君の不在がさみしいのと。連絡帳から探すことで携帯の明かりが灯り、君の名の文字を見つけて安心する。意味のかかりかたがとても鮮やかで心細さを覚えました。
そして都々逸まで作られるとは…!すごいです。都々逸、いつかチャレンジしてみたいです。


35. 57577の鍵握りしめ想像力の扉を開く( #短歌の目 参加してみました) - Qの箱庭

8.夜

ブランコに揺られる影が伸び切って 闇にとけたら夜のはじまり

子供たちは影が伸び切るころを目処に闇に溶けるように家に帰っていく。何となく秋の陽が早くなってきた頃の情景が浮かびました。下の句が優しさと大人の余裕みたいなものを感じさせます。さあ、これから夜と戯れよう。そんな感じがします。ぎゅっと胸をつかむ懐かしさがあります。


36. 【短歌の目】第0回お題詠んでみました - たそがれノート

1.白

白い紙 埋める言の葉探しては 鉛筆任せの神頼み

ちょうど国公立二次試験をやっている頃に感想を書いているので、試験を思い出しました。六角鉛筆の後ろを削って試験用サイコロにしてる人いましたよね。そういう鉛筆サイコロと、「きっとこの鉛筆を持つ手が書いてくれるだろう」という神頼みを想像して懐かしくなりました。


37. はてな題詠「短歌の目」に参加します。 - 野良猫の午後

2.チョコ
「愛してる」君の差し出す板チョコが ナイフに見える きっと気のせい

ヤンデレぽくていいですね。君と自分との間にある埋めがたい温度差が、板チョコをナイフに錯覚させたのでしょう。「きっと気のせい」と言いつつじりじりと温度差が広がっていく気がして心配になってきます。人間、その気になれば板チョコをナイフにして刺すことだってできるんです。


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以上、長々とお付き合いくださりありがとうございました。私信や個人的に伝えたいこと以外はだいたい同じくらいの文字数で書きました。
感想を書き慣れてないとなかなかまとめるのが難しかったです。
「え、そういう意図で詠んだんじゃないんだけど!」と思われる方もいると思います、確実に。短歌の読み方修行中ゆえ…。だけど、三十一文字からたくさん解釈が生まれるってとても素敵なことだと思います。そりゃ万葉の時代から脈々と受け継がれてきた文化なだけあります。
感想を書いている間、自分のボキャブラリーのなさにぜえはあしながらも、たくさんの素敵な短歌にまみれることができて幸せでした。
ありがとうございました!

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*1:穂村弘『短歌という爆弾』より

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