『球場三食』を読んで野球場に行こう
プロ野球が開幕して早1ヶ月余り経った。我がドラゴンズは開幕5連敗さえなきゃなあといった具合である。いや、まだまだ諦めてないけど!
そんな開幕に先立って発売されたのがこの漫画、『球場三食』。12球団のファンクラブに入り、野球観戦日は朝食昼食夕食すべてを球場飯で賄うことをポリシーとした男の漫画だ。
この表紙、神宮球場名物ウィンナー盛りを持ってポーズを取る主人公なんだけど、野球好きなら見覚えのある構図だろう。元横浜・ハマの番長こと三浦大輔の自撮り写真(ばんてふフレーム)である。こんな小ネタを見ればそりゃ期待は高まるものだ。
球場飯を食らいながら、球場の魅力を余すことなく伝えてくれる。現地観戦した人ならわかる球場萌えポイントみたいなものの描写が丁寧でまたぐっと来る。とにかく野球場に行きたくなる。これはグルメ漫画ではなく、れっきとした野球漫画だ。表紙以外に散りばめられた小ネタも楽しい。小ネタで爆笑したのはマツダスタジアム編のエセ中国語。あれはズルい。
主人公がどこのファンだったのかが読み進めていくうちに明かされるのだけど、この設定には唸らされた。作者を投影しているとも言えるのだけど、この設定が今の主人公の生活に説得力をもたらしている。野球、特にパ・リーグ好きならぜひ読んでほしいところ。
野球観戦漫画と言えば『球場ラヴァーズ』シリーズが有名でわたしにとってもとても大切な漫画なのだけど、『球場三食』は個人的に双璧だ。
こんなニッチな漫画がアフタヌーンで生き残れるんだろうかと心配したけど、WBCの時には本誌表紙を飾っていたので安心した。
主人公の帽子のつばに書かれた文字がまた小ネタ。昔そういう事件があったんですよ……。
作者の野球愛と球場愛を球場飯というフィルタを通して描かれるこの漫画、野球好きな人でなくてもきっと球場に行きたくなるはず。読んで是非近くの野球場に足を運んでみてほしい。野球がわからなくても、野球場の独特の雰囲気はまた格別だ。あー、また神宮球場行きたいなぁ。
面白いのでぜひアフタヌーンのサイトにある試し読みを見てみてほしい。
球場三食/渡辺保裕 第1幕 明治神宮野球場 - モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ
そしてわたしは2巻に登場する一番近い本拠地球場にして評判の悪いナゴヤドームがどう描かれるか、怯えつつ楽しみにしている。
短歌の目 4月 それと昨日の抱擁の果て
今回即詠です。よろしくお願いします!
題詠
1. 皿
君の背に広がる海に日が射せば河童のお皿みたいと思う
2. 幽霊
透き通る指では涙を拭えない幽霊の悲しさを知る夜
3. 入
不用意に春が街へと入り込みうっかりわたしも花見などする
4. うそ(嘘、鷽、獺も可)
知りすぎないことが幸せなんですとうそぶくわたしに吹き抜ける風
5. 時計
腕時計外せば始まる夜があり到着時刻を無視した航海
テーマ詠「新」
まっさらなノートにあなたが書き入れた文字が読めない緑のインク
カラス鳴き駅裏に撒かれた吐瀉物を新しい光で押し流す
コンビニに踊る新商品の文字一緒に踊れず立ち尽くしていた
ルーキーが落とした凡フライの行方それと昨日の抱擁の果て
新しく取り出す錠剤いくつかを飲み干すことで生き延びている